Mommy/マミー

『Mommy/マミー』は、グザヴィエ・ドラン監督による2014年のカナダ映画です。第67回カンヌ国際映画祭では、最高賞であるパルム・ドールの候補となり、見事審査員賞を受賞しました。

あらすじ

物語は、未亡人のダイアン（愛称：ダイ）と、ADHD（注意欠陥・多動性障害）を抱える息子スティーヴを中心に展開します。スティーヴは、入所していた施設で放火騒ぎを起こし、強制的に退所させられてしまいます。ダイはスティーヴを引き取り、母子二人での生活を始めますが、感情の起伏が激しいスティーヴの衝動的な行動に、ダイは深く悩まされます。

そんな中、ダイとスティーヴは、向かいの家に住むカイラと出会います。カイラはスティーヴの世話をするようになり、ダイ、スティーヴ、カイラの3人は互いに支え合い、助け合う生活を送るようになります。ダイアンは生きる希望を取り戻しますが、スティーヴの放火によって火傷を負った施設の入居者から、治療費を支払うよう訴えられ、生活は再び困窮へと向かいます。

製作の背景

本作で特徴的なのは、その画面アスペクト比です。昨今の映画で一般的な1.85:1（ビスタサイズ）や2.35:1（シネマスコープ）ではなく、1:1の正方形の画面で映像が上映されます。

監督のドランは、このアスペクト比について、「1:1のアスペクト比は、より慎ましく、プライベートな表現様式だと思う。この映画の登場人物たちの生へ没入するのに、幾分適している」と語っています。この正方形の画面は、登場人物たちの感情や関係性をより親密に、そして直接的に観客に伝える効果を生み出しています。

作品の評価

映画レビューを集積するウェブサイトRotten Tomatoesでは、115件のレビューに基づき、89%の支持率を獲得。評価の平均は7.9/10と高く、「その評価にふさわしく、意欲的。ドランをさらに印象的な監督にした」という総評が与えられています。また、Metacriticでは、34件のレビューに基づき、加重平均値は74/100となっています。

『ガーディアン』のピーター・ブラッドショーは、2014年5月21日のレビューで、「派手で、非慣習的。貧乏人のおしゃべりから予期せぬ性愛、驚くべき感情的な深みがある」と本作を評価し、五つ星中四つ星を与えました。

2014年5月22日には、カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、13分間のスタンディングオベーションを受けました。審査員賞受賞後、『ガーディアン』記者のXan Brooksは、「騒々しく、エディプス的なコメディへ審査員賞が与えられた」と評しています。

『Mommy/マミー』は、その革新的な映像表現と、複雑な感情を抱える登場人物たちの姿を鮮やかに描き出した作品として、世界中の映画ファンから高い評価を受けています。

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