N-QUALIS

N-QUALIS：日本車輌製造が誇る次世代ステンレス車両

N-QUALIS（エヌクオリス）は、日本車輌製造が2021年から展開している、ステンレス車体および台車のブランドです。その背景には、長年培ってきた鉄道車両製造の技術と、安全性、品質、そして保守性への徹底的なこだわりがあります。

日車式ブロック工法：N-QUALISの礎

N-QUALISの車体技術は、日車式ブロック工法をベースとしています。この工法は、従来の車体製造における課題を克服するために開発されました。従来の工法では、車体全長と同じ長さの骨組に幕板や腰板などを溶接していくため、広い作業スペースが必要であり、特に長い幕板の取り扱いが困難でした。しかし、日車式ブロック工法では、側構体を車端窓ブロック、中間窓ブロック、側入口ブロックなどのユニットに分割し、各ブロックを個別に製造した後、最終的に溶接接合することで側構体を組み立てます。

この革新的な工法により、狭いスペースでの作業が可能になり、各ブロックの製造を並行して進めることで工期を短縮できます。また、ブロック単位での保管が容易になり、車両製造コストの大幅な削減に貢献します。最終工程でのブロック接合では、継ぎ目の間隔を微調整することで、寸法精度の高い側構体を製作できるというメリットもあります。

N-QUALISは、この日車式ブロック工法をさらに発展・改良させ、安全性と品質を向上させたブランドです。

N-QUALISの特長

N-QUALISブランドの車体は、以下の3つのコンセプトを重視しています。

安全性の向上: 車体強度の強化により、衝突事故などに対する安全性を高めています。
品質の向上: ブロック工法による高精度な製造と、表面の平滑化処理により、美しい外観と快適な乗り心地を実現しています。
保守性の向上: 構体シールの削減や、部品の共通化などにより、メンテナンスの負担を軽減しています。

また、N-QUALISの台車は、特許を取得した一体プレス式台車枠を採用しています。これにより、台車全体の強度と耐久性が向上し、安全性と信頼性が高まっています。さらに、タンデム式軸箱支持装置（軸梁式も選択可能）の採用により、乗り心地が向上し、走行安定性も高まっています。オプションの専用ゴムを使用することで、自己操舵台車とすることも可能です。

採用事例

N-QUALISは、その優れた性能と信頼性から、多くの鉄道車両に採用されています。

N-QUALIS発足後
JR東海315系電車

日車式ブロック工法採用車両

名古屋鉄道
名鉄300系電車
名鉄3300系（3代目）・3150系電車
名鉄4000系電車
名鉄5000系電車（2代目）
名鉄9500系・9100系電車
名古屋市交通局
名古屋市交通局N1000形電車
名古屋市交通局N3000形電車第2編成以降
名古屋市交通局6050形電車
名古屋臨海高速鉄道1000形電車
京王9000系電車
小田急電鉄
小田急3000形電車（2代目）
小田急5000形電車（2代目）
京成電鉄・京成グループ
京成3000形電車（2代目）
新京成電鉄N800形電車
北総鉄道7500形電車
千葉ニュータウン鉄道9200形電車
京成3100形電車（2代目）
新京成電鉄80000形電車
横浜市交通局3000形電車3次車以降
台湾車輌にて現地生産'>[台湾鉄路管理局EMU700型電車]

今後の展望

現在、N-QUALISが採用されているのはJR東海315系電車のみですが、今後はJR東海向け以外の車両（特急車両やほかの通勤車）にも採用される予定です。2024年2月には、本ブランドの特急用車両のステンレス構体が完成しており、今後の展開が期待されます。

類似コンセプト

sustina - 総合車両製作所のステンレス製の標準型鉄道車両。
efACE - 川崎車両（旧・川崎重工業車両カンパニー）の標準型鉄道車両。ステンレス車体とアルミ車体が存在する。
A-train - 日立製作所による類似コンセプトのアルミ車両。

関連技術

efWING - 川崎重工業車両カンパニー（現・ 川崎車両）の開発した台車。
通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン
オールステンレス車両

N-QUALISは、日本の鉄道技術の粋を集めた、次世代のステンレス車両ブランドです。安全性、品質、保守性の向上を追求し、快適で信頼性の高い鉄道輸送に貢献していきます。

もう一度検索