新京成電鉄N800形電車

新京成電鉄N800形電車

新京成電鉄N800形電車は、2005年（平成17年）に営業運転を開始した通勤形電車です。老朽化した800形・8000形の置き換えと、京成千葉線への直通運転開始に対応するため、「京成・新京成直通車両規格」に準拠した車両として製造されました。落成前には「新800形」という仮称で呼ばれることもありました。

新京成電鉄では、長らく独自の設計による車両を導入してきましたが、本形式では京成電鉄の車両を基本とした設計に戻りました。形式名の「N」は「New」を意味し、新しさを表現しています。

車体

車体構造は、製造コストを抑えるため、京成新3000形を基本とした「京成グループ標準車体」を採用しています。外観上の特徴は、新京成電鉄のラインカラーであるマルーンと白色の帯です。マルーンの帯は沿線の4つの自治体（松戸市、鎌ケ谷市、船橋市、習志野市）を、白色の帯は新京成電鉄のクリーンでオープンな企業イメージをそれぞれ表現しています。また、窓枠が黒色処理されているのも本形式の特徴です。

2014年8月以降、新京成電鉄の全車両でコーポレートカラーを用いたデザインへの変更が実施されており、本形式も順次新デザインに更新されています。N828編成以降は、新製時から新デザインで登場しています。

列車無線は新京成線用の空間波無線（SR）方式に加え、京成線乗り入れに対応するため誘導無線（IR）方式も搭載しています。非常用貫通路や運転台の機器配置、保安装置なども京成3000形に準拠しており、京成線以外にも直通運転を行う北総線や都営浅草線、京急線などでの走行も構造上は可能です。

冷房装置は、初期の編成では東芝製RPU-11018形、後の編成では三菱電機製CU-718形を採用しており、いずれも屋根上集中式で46.52kW（40,000kcal/h）の能力を持ちます。

パンタグラフは、くぬぎ山車両基地の自動計測装置に対応した特殊な形状をしており、形式名称も異なります。また、パンタグラフ脇のランボードは設置されていません。

車内設備

車内は、基本的なレイアウトは京成新3000形に準拠していますが、座席表地はワインレッド色、化粧板はピンク系と、8800形・8900形に近いカラースキームとなっています。客用扉脇には鏡が設置され、側窓のロールアップカーテンには沿線名産の梨やぶどうの柄がデザインされています。つり革は、8800形更新車・8900形と同型の三角形のものが採用されています。

乗務員室の遮光幕は、京成新3000形では助士席側に設置されていませんが、新京成の従来形式に合わせて本形式では助士席側にも設置されています。運転士側と中央はスモークガラスとなっています。

客用ドア上部にはLED式車内案内表示器が設置されています。新京成電鉄では初となる乗降促進放送が搭載され、後日自動放送装置も設置されました（N848編成以降は当初から設置）。

編成表

本形式は6両編成で、電動車と付随車が組み合わされています。構造上は中間電動車2両を増結できる設計になっていますが、2015年12月現在、増備計画はありません。

その他

車両の搬入は、京成新3000形などとは異なり、逗子駅・東急車輛製造を経由せず、千葉貨物駅まで甲種輸送された後、北総の印旛車両基地を経由してくぬぎ山車両基地へ陸送されました。初期の編成は、千葉ニュータウン鉄道9000形に挟まれて回送されましたが、後の編成は自走で回送されています。

N818編成は、2008年に「BIG HOPトレイン」としてラッピング車両となり、松戸方の2両が青系、中央の2両が緑系、千葉方の2両が赤系のデザインとなりました。

2010年度にはN828編成が増備され、一部機器が京成新3050形準拠に変更されました。また、N838編成は千葉テレビ放送とのコラボ企画で「チュバチュバワンダーランド号」として運行されました。

脚注

注釈

出典

参考文献
交友社「鉄道ファン」2005年9月号

関連項目

北総鉄道7500形電車・千葉ニュータウン鉄道9200形電車 - 京成3000形および本形式と共通設計の京成グループ標準車体の車両。

外部リンク

N800形概要（インターネットアーカイブ）
新京成電鉄公式サイトより「N800形概要」
新京成電鉄N800形通勤電車（日本車輌製造）
新京成電鉄殿向N800形通勤電車（日車トピックス）

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