N209i

デジタル・ムーバN209i HYPER：2000年代初頭のモバイルシーンを彩った一台

NTTドコモのmovaサービスにおいて、NECが製造した折りたたみ式携帯電話「デジタル・ムーバN209i HYPER」。iモードの普及により、通話機能だけでなくデータ通信への需要が高まる中で登場した、重要な機種の一つです。本稿では、その特徴や歴史、そしてmovaサービス終了までの軌跡を振り返ります。

iモード搭載による新時代の幕開け

それまでのスタンダード機種は通話機能に特化していましたが、iモードの爆発的な普及を受け、209iシリーズからiモード対応機種が登場しました。N209i HYPERもその流れを汲む機種であり、当時としては画期的なデータ通信機能を備えていました。これにより、ユーザーはメールやインターネットアクセスといった新たなモバイル体験を手に入れることができました。

デザインと機能性：斬新な折りたたみデザインと多彩なイルミネーション

NECは折りたたみ式携帯電話を得意としており、N209i HYPERもその伝統を受け継いでいます。コンパクトで持ち運びやすく、片手で操作しやすいデザインが特徴です。さらに、12色のイルミネーションランプと3色のバックライト付き4階調モノクロ液晶を搭載。着信時には、FM音源による4和音のメロディーが鳴り響きました。これらの機能は、当時としては非常に魅力的なものであり、ユーザーの目を惹きつけました。

開発からサービス終了まで：歴史を辿る

N209i HYPERは、開発からサービス終了まで、いくつかの重要な節目を迎えています。

2000年3月10日：テレコムエンジニアリングセンターによる技術基準適合証明の工事設計認証（工事設計認証番号WZA0013）
2000年3月31日：電気通信端末機器審査協会による技術基準適合認定の設計認証（設計認証番号A00-0265P、J00-0077）
2000年6月13日：F209i、P209iとともにドコモから発表
2000年6月20日：F209i、P209iとともに発売開始
2012年3月31日：movaサービス終了により使用不可

これらの工程を経て、N209i HYPERは市場に投入され、多くのユーザーに利用されました。しかし、movaサービスの終了に伴い、2012年3月31日をもってその歴史に幕を閉じました。

N209i HYPERとモバイル社会：その意義

N209i HYPERは、単なる携帯電話という枠を超えて、当時のモバイル社会に大きな影響を与えました。iモード対応端末として、モバイルインターネットの普及を加速させたと言えるでしょう。また、斬新なデザインと機能は、携帯電話のデザインや機能性における新たな可能性を示唆しました。

N209i HYPERは、movaサービスという一つの時代の象徴であり、日本の携帯電話の歴史において重要な位置を占める機種と言えるでしょう。その存在は、現在の多様なモバイル機器の進化を理解する上で、重要な手がかりとなるはずです。

関連機種と参考文献

関連機種：N210i
* 参考文献：ケータイSHOW CASE NTTドコモ N209i、ケータイWatch 2000年7月5日記事

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