技術基準適合認定

技術基準適合認定とは

技術基準適合認定とは、電気通信事業法第53条に基づき、端末機器が電気通信事業法令の技術基準に適合していることを証明する制度です。この制度は、電気通信回線に接続される様々な機器が、法令で定められた技術的な基準を満たしていることを確認し、安全かつ円滑な通信を確保することを目的としています。

概要

技術基準適合認定は、かつて無線機器に対して行われていた技術基準適合証明を、端末機器にも適用したものです。この制度は、広義には以下の二つの制度を含みます。

設計認証: 電気通信事業法第56条に基づく、端末機器の設計が技術基準に適合していることを認証する制度です。
技術基準適合自己確認: 電気通信事業法第63条に基づく、特定の端末機器について、製造業者や輸入業者が自ら技術基準への適合性を確認し、総務大臣に届け出る制度です。

これらの認定・認証・自己確認を行った端末機器には、それぞれ定められた表示を付与することが義務付けられています。

沿革

技術基準適合認定制度は、電気通信事業法の施行とともに、1985年に開始されました。その後、以下の様な変遷を辿っています。

1985年: 電気通信事業法施行に伴い、郵政省令によって端末機器の技術基準適合認定に関する規則（現在の認定規則）が施行されました。
1999年: 「設計についての認証」（現在の設計認証）と「承認認定機関」の制度が導入されました。承認認定機関は、海外の事業者が日本向けの端末機器を扱う際に、技術基準適合認定と同等の審査を行うことを郵政大臣（現総務大臣）が認めた機関です。
2003年: 国内の認定機関が、国の指定制から登録制へと移行しました。これにより、認定機関はより中立的な民間機関としての位置づけとなりました。
2004年: 技術基準適合自己確認の制度が導入され、より柔軟な適合性評価が可能になりました。

対象機器

技術基準適合認定の対象となる端末機器は、認定規則第3条第1項に定められています。具体的には、以下のような機器が対象となります。

アナログ電話回線、移動電話回線に接続される電話機、構内交換設備、ファクシミリなど
インターネットプロトコル（IP）電話回線に接続される電話機、構内交換設備、符号変換装置など
IPを利用する移動電話回線に接続される端末機器
無線呼び出し設備に接続される機器
ISDN回線（総合デジタル通信）に接続される機器
専用線やデジタルデータ伝送回線に接続される機器

これらの機器は、電気通信回線に接続して通信を行う機能を持つもので、電気通信事業者のサービスを利用するために不可欠です。無線機能を持つ機器は、別途電波法に基づく技術基準適合証明も必要となる場合があります。

各制度の詳細

技術基準適合認定

登録認定機関が、申請された端末機器に対して個別に試験を実施し、技術基準への適合性を確認します。適合と認められた機器には、個別の技術基準適合認定番号が付与されます。この制度は、誰でも申請できますが、他の制度の導入後はあまり利用されていません。

設計認証

登録認定機関は、申請された端末機器の設計が技術基準に適合しているかを確認するだけでなく、工場での生産体制が設計に合致した製品を製造できるかについても審査を行います。認証を受けた設計に基づいて製造された機器には、同じ設計認証番号が表示できます。この制度は量産品向けの制度として主流となっています。

設計認証を受けた事業者は「認証取扱業者」と呼ばれ、設計通りの製品を製造する義務や、検査記録の作成・保管が義務付けられます。

技術基準適合自己確認

特定の端末機器については、製造業者や輸入業者が自ら技術基準への適合性を検証し、その結果を総務大臣に届け出ることで、技術基準適合の確認とすることができます。この制度では、届け出た設計と同じ端末機器には同じ番号を表示することができます。

特定端末機器は、原則として全ての端末機器が該当します。

表示

技術基準適合認定、設計認証、技術基準適合自己確認のいずれかを受けた端末機器には、認定規則に基づく表示を行うことが義務付けられています。表示には、機器の種類を示す記号や、認定機関の識別記号が含まれます。複数の機器が一体となっている場合は、複数の記号が列記されます。

認定機関

技術基準適合認定と設計認証を行う登録認定機関は、2022年6月時点で11法人、過去に登録されていた機関を含めると合計15法人です。

承認認定機関は、外国の適合性評価機関として総務大臣が公示しており、2019年4月時点で1法人が登録されています。また、登録外国適合性評価機関は2021年2月時点で9法人が登録されています。

認定員

認定機関には、電気通信事業法に定められた要件を満たす認定員を置く必要があります。認定員は、電気工学や通信工学に関する専門知識と、一定の実務経験を持つ者でなければなりません。

まとめ

技術基準適合認定制度は、電気通信回線に接続される機器が安全かつ円滑に利用できることを保証するために不可欠な制度です。制度は、技術の進歩や社会の変化に合わせて改正されており、常に最新の情報を確認することが重要です。

外部リンク

総務省の該当ページへのリンク'>端末機器に関する基準認証制度について - 総務省
電気通信端末機器審査協会

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