N506iS

NEC N506iS/N506iSII：mova時代の最終章を飾った革新機

NECが[NTTドコモ]]向けに開発した第二世代携帯電話][[端末、N506iSとその改良版N506iSIIは、2004年と2006年に登場し、movaサービス終了まで多くのユーザーに利用されました。本機種は、それまでのmovaフラッグシップモデルの後継としてではなく、FOMAへの移行期において、movaユーザーからの需要に応えるべく開発されました。

N506iS：世界初のフラットパネルスピーカー搭載

2004年夏モデルとして発売されたN506iSは、前機種N506iのデザインを継承しつつ、角ばった形状とツートンカラーを採用。最大の特長は、イギリスのNew Transducers社が開発したNXT SoundVu技術を用いた世界初のフラットパネルスピーカーを搭載した点です。ディスプレイ自体が発音するこの革新的な技術により、通話時の音質が向上し、耳の位置に関係なくクリアな音声が得られました。ただし、着信メロディーは従来通りのステレオスピーカーから再生されます。

当時、各メーカーはFOMA端末開発に注力しており、N506iSを投入したのはNECのみでした。これは、movaからのFOMAへの移行が進む中で、mova端末市場におけるNECの戦略的な判断と言えるでしょう。他のメーカーは、FOMA端末の開発に経営資源を集中させていたため、mova端末の新機種開発には消極的でした。

N506iSII：mova端末の最終モデル

2006年春には、N506iSの改良版であるN506iSIIが登場しました。この頃には、506iシリーズに代わるミッドレンジ価格帯の700iシリーズが既に市場に投入されており、FOMAへの移行はさらに進展していました。しかし、依然としてmovaユーザーは全体の50%に及んでおり、mova新機種への需要は根強く残っていました。N506iSIIは、この残存する需要に応えるべく開発された最後のmova端末です。

N506iSIIは、N506iSのデザインを一部変更し、フラットパネルスピーカーとツートンカラーは廃止されました。このモデルを最後にNECはmova端末の開発から撤退し、回転2軸型端末は、2007年冬モデルのFOMA端末であるN905iで復活することになります。N506iSIIは、movaの歴史における重要な位置を占める機種であり、NECのmova端末開発における集大成と言えるでしょう。

歴史と市場背景

N506iSとN506iSIIは、日本の携帯電話市場において、movaからFOMAへの世代交代期に位置づけられます。この時代、ドコモはFOMAサービスの普及に力を入れており、多くのメーカーがFOMA端末の開発に集中していました。そのため、mova端末の新機種発表は減少傾向にあり、N506iSとN506iSIIは、そうした状況の中で、依然として需要のあるmova市場を維持するためのNECの戦略的な取り組みの結果と言えるでしょう。

N506iSの開発発表は2005年1月7日、販売開始は同年2月5日でした。N506iSIIの開発発表は2006年3月2日、販売開始は同年3月10日です。movaサービスは2012年3月31日に終了し、N506iSとN506iSIIもその役目を終えました。しかし、これらの機種は、日本の携帯電話の歴史において重要な役割を果たした機種として、今もなお記憶されています。特に、N506iSのフラットパネルスピーカーは、携帯電話の技術革新の歴史において重要なマイルストーンの一つです。

まとめ

N506iSとN506iSIIは、世界初のフラットパネルスピーカー搭載など、技術的な革新と市場のニーズに応える戦略的な製品でした。これらの端末は、movaサービス終了後も、その技術的進歩と市場における位置づけから、日本の携帯電話史において重要な位置を占め続けることでしょう。また、movaからFOMAへの移行期における携帯電話市場の動向を知る上でも、重要な事例研究対象と言えるでしょう。

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