NGTS-3Ab

NGTS-3Abは、約3300光年離れたと座の方向にあるG型主系列星NGTS-3Aの周囲を巡る太陽系外惑星です。2018年にトランジット法を用いてその存在が明らかになりました。質量が木星の2倍以上ありながら、わずか2日弱で主星の周りを一周するという、いわゆる「ホット・ジュピター」と呼ばれるタイプの惑星です。

主星であるNGTS-3Aは、スペクトル分類G6V型の恒星で、太陽よりわずかに低温で小さい可能性が示唆されています。この恒星は、現在もなお視覚的には分離されていない連星系の一員であると考えられています。地球から遠く離れたこの星系は、恒星の前面を惑星が通過する際に生じるわずかな光の変化（トランジット）を捉えることで、その伴星であるNGTS-3Abの存在が確認されました。

NGTS-3Abは、質量が木星の約2.38倍と巨大なガス惑星です。しかし、その公転軌道は主星からわずか0.023天文単位（地球と太陽の距離の約40分の1以下）という極めて近い距離に位置しています。このため、公転周期はわずか1.7日（約41時間）という非常に短いものとなっています。このような近距離を周回する巨大ガス惑星は、恒星からの強烈な放射を受け、高温になっていると考えられています。その密度は比較的低く、主にガスで構成されていることが示されています。

NGTS-3Abの軌道は、その主星系のハビタブルゾーン（液体の水が存在しうる領域）の内縁よりもはるかに内側に位置します。この近さゆえに、惑星の表面温度は非常に高く、生命が存在する可能性は極めて低いと考えられます。実際、その環境は地球とは大きく異なり、地球類似性指標（ESI）は0.06という非常に低い値を示しています。

NGTS-3Abの発見は、2018年6月に研究チームによって公表されました。このプロジェクトには、Max Günther氏、ディディエ・ケロー氏、Edward Gillen氏、Laetitia Delrez氏、フランソワ・ブーシェ氏ら、総勢39名に及ぶ多数の研究者が参加しました。彼らは主に、チリのパラナル観測所に設置された次世代トランジットサーベイ（NGTS）望遠鏡群とSPECULOOSプロジェクトによる観測データを用いました。

NGTS-3Abの検出と詳細な特性の決定には、高度な観測技術とデータ解析手法が活用されました。惑星が主星の手前を通過する際に恒星の光量が減少するトランジット現象を精密に測定するために、NGTSの多色測光データが用いられました。また、惑星の重力によって主星が揺さぶられることで生じる視線速度の変化を捉えるためには、高精度視線速度系外惑星探査装置（HARPS）やNGTSのセントロイド技術によるドップラー分光法が適用されました。これらの異なる観測手法（多色測光、幾何中心解析、ドップラー分光法）から得られたデータを統合し、惑星系のモデルを構築することで、NGTS-3Abの存在とその物理的パラメータが確定されました。さらに、相互相関関数（CCFs）やBIS相関のシミュレーションといった手法も、惑星の特性をより深く理解するために利用されました。

現在のところ、NGTS-3Aの周囲を公転していることが確認されている惑星は、このNGTS-3Abが唯一です。連星系の一部である恒星の周囲に存在するホット・ジュピターという点でも、この惑星系は興味深い研究対象となっています。

NGTS-3Abは、極端な環境を持つ巨大ガス惑星として、太陽系外惑星の多様性を示す重要な事例です。その発見は、NGTSをはじめとする最新の観測装置と、複数の観測手法を組み合わせた高度なデータ解析技術によって可能となりました。

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