NHK年鑑

NHK年鑑とは

NHK年鑑（エヌエイチケイねんかん）は、日本の公共放送であるNHKが刊行する放送年鑑です。その歴史は古く、1931年に『ラヂオ年鑑』として産声を上げました。その後、『ラジオ年鑑』、『NHKラジオ年鑑』と名称を変え、テレビ放送が開始されるのに伴い、現在の『NHK年鑑』となりました。この年鑑は、その時々の日本の放送に関する動向や出来事を記録しており、放送史研究において貴重な資料となっています。

創刊号である『昭和六年ラヂオ年鑑』は、社団法人日本放送協会の1926年8月から1930年9月にかけての沿革が主な内容でした。しかし、それ以前の、日本放送協会が設立される前の初期放送局（東京、大阪、名古屋）の歴史については、同書巻頭で『東京放送局沿革史』などを参考にするよう案内されていました。このため、1926年8月以前の日本の放送史を深く知る上で、「放送3局沿革史」と呼ばれる各放送局の沿革史が重要な役割を果たしています。

放送3局沿革史

「放送3局沿革史」とは、日本放送協会設立以前に存在した東京、大阪、名古屋の旧社団法人による放送局の歴史をまとめた書籍群を指します。これらはNHK年鑑の創刊よりも前に刊行されており、日本の放送の黎明期を知る上で不可欠な史料です。

東京放送局沿革史

1928年に社団法人東京放送局によって刊行されました。これはNHKの放送史を扱った書籍としては最も古いものとされており、1924年10月の社団法人東京放送局設立者総会から、1926年8月に社団法人日本放送協会に統合されるまでの沿革が詳細に記されています。特に注目すべきは、巻末に「大阪放送局略史」「名古屋放送局略史」も収録されている点です。この書籍は、越野宗太郎氏が編集し、東京放送局沿革史編纂委員会が発行人を務め、一噌印刷所によって1928年3月28日に印刷、同年4月5日に発行されました。A5判で全328頁（本文276頁、写真54頁）からなり、非売品として扱われていました。

大阪放送局沿革史

1934年に社団法人大阪放送局（後に日本放送協会関西支部）によって刊行されました。この書籍は、1923年12月の設立準備から1927年6月の清算完了に至る、大阪放送局の歴史を記録しています。巻頭部分では1928年刊行の『東京放送局沿革史』に触れつつ、大阪放送局が東京や名古屋とは別の独立した組織として設立され、独自に放送を行っていた歴史を残すことの重要性が述べられています。編集は大阪放送局沿革史編纂委員会、発行人は日本放送協会関西支部が務め、1934年5月に発行されました。A5判で全407頁（本文359頁、写真48頁）と、3局の沿革史の中で最も頁数が多く、こちらも非売品でした。

名古屋放送局沿革史

1940年に日本放送協会名古屋中央放送局によって刊行されました。内容は、1924年2月の設立準備から1926年8月の解散までの、社団法人名古屋放送局の沿革を記したものです。編集・発行は日本放送協会名古屋中央放送局が行い、1940年8月に発行されました。A5判で全259頁（本文243頁、写真16頁）からなり、こちらも非売品でした。

これらの「放送3局沿革史」は、NHK年鑑と合わせて読むことで、日本のラジオ放送がどのように始まり、発展していったかをより深く理解するための重要な手がかりとなります。

NHK年鑑の書籍情報

NHK年鑑は、長年にわたりその編集、発行、印刷体制、さらには判型を変遷させてきました。編集は、創刊から1966年までは日本放送協会本体が担当し、1967年以降は総合放送文化研究所や放送文化研究所などの関連組織が担っています。発行元も、創刊時の誠文堂から始まり、日本放送出版協会、ラジオサービスセンターを経て、現在はNHK出版が手掛けています。印刷所も時代によって多様な変遷を辿っています。

判型については、創刊から1962年まではB6判でしたが、1963年版からは現在に至るまでB5判が採用されています。価格については、2000年版以降は本体価格6700円で固定されています。

また、NHK年鑑はISSN 1344-5731が付与されており、書籍分類コードとしてはC3065（専門 / 単行本 / 産業 / 交通・通信）に分類されています。既刊にはISBNが付与されているものと、国立国会図書館デジタルコレクションの永続的識別子番号が記載されているものがあります。

関連する書籍としては、日本民間放送連盟が刊行する『日本民間放送年鑑』があり、日本の放送業界全体を知る上で比較参照されることがあります。詳細はNHK放送文化研究所やNHK出版の公式サイトからも確認できます。

これらの情報は、NHK年鑑が単なる年ごとの記録にとどまらず、日本の放送制度や文化の変遷を映し出す歴史的な資料であることを示しています。

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