NHK邦楽技能者育成会

NHK邦楽技能者育成会の概要

NHK邦楽技能者育成会は、1955年に設立され、2010年3月まで約55年間にわたり、東京都渋谷区で邦楽演奏家の育成に努めてきた講座です。この機関では、琵琶や一絃琴、笛、雅楽など三曲を中心に、様々な邦楽楽器の演奏者が受講し、演奏技術だけでなく邦楽の歴史や合奏の知識を広げました。

設立からの歴史

この育成会は1955年に開講され、以降多くの卒業生を輩出してきました。80年には25周年記念演奏会を国立劇場小劇場で開催し、さらには40周年、50周年と続けて記念演奏会をNHKホールで行うなど、邦楽の普及と発展に寄与しました。2010年3月の第55期生の卒業をもって、ついに閉講を迎えました。

教育プログラムの特徴

この講座では、合奏や日本音楽的ソルフェージュ、日本音楽史と楽典など多様な教科が提供されていました。講師陣には、著名な専門家が多数揃っており、吉川英史や杵屋正邦、藤井凡大などが担当していました。

受講生は、毎年1回の募集により選ばれ、実技とペーパーテストを経て入会します。受講生はNHK放送センターにて毎週火曜日に講義を受け、演奏技術を磨きました。また、基本的には年1回の選考により合格者が選ばれ、その後彼らは第〇期生として卒業を迎えます。中途退学は認められず、成績不良の場合は退学処分もありました。

卒業生の活動と特典

NHK邦楽技能者育成会の卒業生には特別な特典はありませんが、彼らの多くは邦楽の世界で活躍しています。卒業生がNHKに出演するには、別途オーディションが必要ですが、演奏会のお知らせに掲載される「第〇期卒業」という言葉は、邦楽演奏者にとって一つの名刺代わりとなっていました。

委嘱作品と楽譜

受講生は卒業演奏会に向けて、作曲家に委嘱した作品を演奏します。楽器の特性を考慮しつつ、各種楽器がバランスよく配置された曲が作られています。楽譜には五線譜が用いられ、伝統的な楽譜の使い方に新たな視点をもたらしました。

五線譜は音の動きを明示する利点がありますが、和楽器の独特な調弦や音感との違いから、演奏に際してはさまざまな工夫がなされる必要があります。

卒業演奏会の開催

卒業演奏会は、作曲者の指導や黒紋付での演奏が特徴で、NHKホールやイイノホールなどで盛大に行われ、テレビやラジオでの放送も行われました。舞台の並び順は成績によって決まるため、生徒たちの努力が一層強調されます。演奏会後には謝恩会が催され、卒業生にはトロフィーなどの記念が贈られました。

同窓会とその活動

卒業後の交流を促すために、2011年には同窓会が設立され、芸術文化への寄与を目指して様々な活動が展開されています。演奏会や講習会の開催、音楽の伝承と研究、さらには国際交流にも取り組んでいるのが特徴です。

まとめ

NHK邦楽技能者育成会は、数十年にわたり邦楽の伝承と教育に寄与し続け、今日でも多くの優れた演奏家を輩出しています。歴史あるこの教育機関の取り組みは、国内外での和楽器文化の普及にも大きく貢献しています。

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