NINTENDO 64 コントローラ

NINTENDO 64 コントローラ（型番: NUS-005）は、任天堂が開発したNINTENDO 64用の標準ゲームコントローラです。1996年6月23日に日本で、同年9月29日に北米で、1997年3月1日にヨーロッパで発売されました。スーパーファミコンコントローラの後継機として、「M」字型の独特なデザインが特徴で、10個のボタン、3Dスティック、十字キーを備えています。

デザイン

任天堂統合開発本部によって設計されたこのコントローラは、従来のゲームコントローラの概念を覆す斬新なアイデアを追求しました。粘土模型による試作や広範なテストグループ調査を経て、宮本茂氏による『スーパーマリオ64』のゲームプレイメカニクスと並行して、最終的なデザインが決定されました。

Nintendo of Americaのデザイナー、ランス・バー氏によると、設計調査の結果、多くのゲームで主要な操作に使用されるボタンは数個に絞られることが判明しました。そのため、新しいコントローラではAボタンとBボタンを最もアクセスしやすい位置に配置し、他のボタンよりも大きく設計されました。

コントローラ上部には、当初3次元ゲーム環境でのカメラ操作を目的とした4つの「Cボタンユニット」が配置されています。しかし、パッドには他に3つのフェイスボタンしかないため、Cボタンは代替機能にも割り当てられることがありました。例えば、『ゼルダの伝説時のオカリナ』では、上部のCボタンが主観視点へのカメラ切り替えやナビィの呼び出しに使用され、左・下・右のCボタンはサブアイテムの使用に割り当てられています。また、Zトリガーは敵へのロックオンやカメラをプレイヤーの背後に固定するために使用されました。

3Dスティック

NINTENDO 64 コントローラは、アナログスティック技術を主要機能として取り入れた初期のゲームコントローラの一つです。移動やカメラ操作など、より広範な機能を提供することを目的としていました。十字キーの8方向に対し、360の独立した方向を検出するよう設計されており、NINTENDO 64のゲームが360°の動きをより正確に再現できる可能性を提供しました。公式には「3D（サンディ）スティック」と呼ばれています。

3Dスティックは、ボールマウスと同様に位置を測定するために一対の光学エンコーディングディスクを使用しています。アナログスティックの位置変化を相対的にシステムに伝えるため、電源投入時にスティックが中心にあると仮定し、そこからの相対的な動きを追跡します。同期がずれたり、電源投入時にスティックが中心になかった場合は、LトリガーボタンとRトリガーボタンを同時に押しながらスタートボタンを押すことで中心位置をリセットできます。

キャリブレーション

NINTENDO 64の電源を入れると、各コントローラの3Dスティックは自動的にキャリブレーションされ、現在の位置が中心位置として記録されます。また、NINTENDO 64の電源が入った状態でも、L+R+STARTを押すことで現在の3Dスティックの位置を中心位置として再キャリブレーションすることが可能です。

手の配置

コントローラは、3つの異なる持ち方を想定して設計されています。

ファミコンポジション: 外側2つのグリップを持ち、十字キー、右側のフェイスボタン、LおよびRトリガーボタンを使用します。2Dゲームでのプレイを最適化するために意図されました。
ライトポジション: 中央と右側のグリップを持ち、3Dスティック、右側ボタン、Rトリガーボタン、および背面のZトリガーを使用します。3Dゲーム向けに設計されています。
レフトポジション: 中央と左側のグリップを持ち、十字キー、Lトリガー、3Dスティック、およびZトリガーの組み合わせを使用します。

アクセサリー

コントローラパック: 任天堂の外部メモリーカードで、セーブデータをカートリッジとは別に保存できます。
振動パック: コントローラのメモリーカードスロットに挿入し、触覚フィードバックを提供することで、より没入感のある体験を目指します。
64GBパック: ゲームボーイまたはゲームボーイカラー用カートリッジスロットを備え、ゲームボーイおよびゲームボーイカラーのゲームと対応するNINTENDO 64タイトル間で接続性を提供します。

バリエーション

コントローラは最初、グレー、ブラック、レッド、グリーン、イエロー、ブルーの6色で発売されました。その後、多くの色が追加され、一部は同じ色やデザインの本体と同時に発売されたものもあります。サードパーティ製のコントローラも多数存在します。

Nintendo Switch用

2021年10月、任天堂はNintendo Switchに対応した「NINTENDO 64 コントローラー」を発売しました。ワイヤレス機能の追加や振動機能の内蔵など、デザインにいくつかの変更が加えられています。

評価

その設計や使いやすさについて多くのレビュアーから称賛を受けた一方で、このコントローラには3Dスティックの耐久性や、一部ゲームでの操作による怪我といった問題点も指摘されました。

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