NS-8000

NS-8000：回線交換と蓄積交換を統合した次世代ノードシステム

NS-8000は、NTTと日本電気、富士通、日立製作所、沖電気、東芝、ノーテルネットワークスが共同で開発した、回線交換と蓄積交換を統合したノードシステムです。新ノードシステムとも呼ばれ、電話網、ISDN、SDHなどの回線交換技術と、ATMなどの蓄積交換技術を、共通のプラットフォーム上で効率的に開発・運用することを目指しました。

概要

NS-8000は、マルチベンダー環境での効率的な開発・運用を可能にするため、各階層の位置づけと機能を明確化し、階層間のインターフェースを定義しました。これにより、ハードウェアとソフトウェアの両面で、効率的な開発と柔軟なシステム構成を実現しています。

ハードウェア構成

NS-8000は、以下の主要なハードウェアコンポーネントで構成されています。

MHN-S（Multimedia Handling Node-STM）: 加入者収容回線交換ノードとして機能します。
SBM（Subscriber Module）: アナログ電話回線、中低速ISDN、PHS基地局を収容・集線する加入者収容モジュールです。SBM-CはASMビル設置用、SBM-SはASM未設置ビル用です。
RSBM（Remote Subscriber Module）: 遠隔加入者収容モジュールで、ADMを介して複数のRSBMに収容された回線を多重伝送し、SBMに接続されます。RSBM-Sは遠隔局用屋内設置、RSBM-Fはき線点用地上設置、RSBM-Uは加入者主配線盤用屋内設置です。
ASM（Architectural STM Module）: 回線交換を行うための回線処理モジュールです。
MHN-P（Multimedia Handling Node-Packet）: パケット交換ノードとして機能します。
MHN-F（Multimedia Handling Node-Frame relay）: フレームリレーノードとして機能します。
MHN-A（Multimedia Handling Node-Asynchronous transfer mode）: ATM交換ノードとして機能します。
MHN-SCP（Multimedia Handling Node-SCP）: 高機能インテリジェントネットワークサービスを提供します。

ソフトウェア技術

NS-8000のソフトウェア開発には、以下の技術が用いられています。

オブジェクト指向設計: 各ノードをオブジェクトとしてモジュール化し、メッセージで疎結合な通信を行います。上位クラスの機能を下位クラスが継承することで、効率的な開発を可能にしています。
サービスシナリオ方式: サービスの状態遷移や固有処理をサービスシナリオとして定義します。類似サービス間で継承関係を持たせることで、効率的な開発を実現します。
タスク適用方式: 並列処理、排他制御、割り込みを制御します。多重度が大きいため、メモリ量と実行性能が重要な要素となります。

共通線中継交換機（STP）

共通線中継交換機（STP：Signaling Transfer Point）は、ノードシステム間の制御信号を転送する役割を担います。共通線信号網は、音声やデータ通信とは独立したネットワークです。

歴史

NS-8000は、1996年から導入が開始され、2015年に製造が終了しました。そして、2024年1月に運用を終了しました。

関連情報

D70形ディジタル交換機: NS-8000と並んで、日本の電話網を支えた主要な交換機です。
インテリジェントネットワーク: NS-8000が提供する高機能サービスの基盤となるネットワークアーキテクチャです。
電話交換機: NS-8000の主要な機能である交換機の概要について説明しています。

外部リンク

4 章 電話／データ統合システム - 電子情報通信学会知識ベース (PDF)
新ノードシステム 日立評論 (PDF)
電気通信設備状況 NTT (PDF)
沖電気工業の社史 (PDF)

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