D70形ディジタル交換機

D70形ディジタル交換機

D70形ディジタル交換機は、日本電信電話公社（電電公社）と、日本電気、富士通、日立製作所、沖電気の4社が共同で開発したデジタル交換機です。回線交換機能と蓄積交換機能の両方を備え、INSネット（ISDN）とアナログ回線の両方に対応する加入者階梯交換機として、1980年代から2010年代にかけて使用されました。

開発の背景と概要

D70形は、加入者交換機のデジタル化とISDNサービスの導入を目的として開発されました。1983年に名古屋大同局で最初の商用機が稼働を開始し、1988年には東京三鷹局でINSネットサービスに対応したD70Dが導入されました。1990年代には、PHSサービスに必要な位置登録機能も追加されました。2015年に全機が撤去され、その役割を終えました。

ハードウェアの特徴

D70形は、全LSI化された加入者線回路を採用し、時分割ハイウェイで集線・交換を行う方式を採用しています。各モジュール間は光ループで接続され、高速なデータ伝送を実現しています。

D70形には、以下のモジュールや装置が搭載されていました。

ISM (ISDN Subscriber Module): ISDN加入者線を収容するD70Dの付加装置。
PSM (PHS Subscriber Module): PHS基地局（CS）をISMに接続するための付加装置。
PHM (PHS Multiplexing Module): ISMで多重化されたパケットをネットワーク層で処理し、パケット交換網へ接続する機能。
STM (Supervisory and Test Module): 各モジュールの保守・運用を行う機能。
STM-R (Remote Supervisory and Test Module): 交換機と同一建屋内に設置され、最大6つの交換機を収容。
STM-C (Centralized Supervisory and Test Module): 保守集約拠点に設置され、最大25のSTM-Rを収容。
RT (Remote Terminal): アナログ回線とISDN回線を遠隔で収容する機能。

歴史

D70形の開発と導入は、以下の年表で示すことができます。

1981年：世界初の全LSI化加入者線回路が完成。
1983年：商用1号機が名古屋大同局でサービスを開始。
1988年：INSネットサービスでD70Dが東京三鷹局で使用開始。
1990年：改D70型製造開始。
2015年：全機撤去完了。

関連項目

D60形ディジタル交換機: D70形が加入者交換機であるのに対し、D60形は中継交換機として使用されました。
NS-8000: NTTの次世代ネットワークシステム。
交換機: 電話交換機の機能に関する一般的な情報。

外部リンク

2 章 電話交換システム - 電子情報通信学会知識ベース (PDF)
ISDNをサポートするD70形ディジタル交換機 日立評論 (PDF)
沖電気工業の社史 (PDF)

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