NTTル・パルク杯天河戦

「NTTル・パルク杯天河戦」は、日本女子プロ将棋協会（LPSA）が主催し、NTTル・パルクが特別協賛を務めた、かつての女流将棋の主要棋戦の一つです。LPSAが手がける大型棋戦としては、「日レスインビテーションカップ」（2007年開始）に続いて二番目に創設された歴史を持ちます。2008年5月に開催が発表され、同年12月には早くも第1期の予選がスタートしました。

棋戦の名称である「天河（てんが）」には、「あまのがわ」という意味が込められています。また、この名には、古くから「行動の石」「希望の石」として親しまれているパワーストーン「天河石（あまのがわせき）」にあやかり、棋士たちの輝かしい未来や希望を願う思いが込められていました。

この棋戦には、主にLPSAに所属する女流棋士や、女子アマチュアのトップクラスである女子アマ王位などが参加資格を持っていました。優勝者には賞金50万円、準優勝者には15万円が授与され、見事優勝を飾った選手には栄えある「天河」の称号が贈られました。

棋戦の進行方式

天河戦は、本戦トーナメントと挑戦手合制の三番勝負によって、新たな「天河」を決定する方式が採用されていました。対局は主にLPSAの対局場で行われました。

予選ブロックリーグ（第1期・第2期のみ）
創設期にあたる第1期と第2期においては、本戦への出場者を決定するために、参加者を複数のブロックに分けて行う予選ブロックリーグが実施されました。これは「2勝通過2敗失格」というユニークな方式で、参加者はまず本戦への切符をかけて争いました。

第1期予選: 女流棋士15名と女子アマ王位1名の計16名が参加。4名ずつの4つのブロックに分かれ、各ブロックから2名ずつ、合計8名が本戦進出を決めました。予選は2008年12月から翌年1月にかけて行われました。
第2期予選: 前期の天河を除く女流棋士12名、ツアー女子プロ1名、女子アマ王位1名の計14名が参加。4名ブロックが2つと6名ブロックが1つに分けられ、合計7名が本戦出場権を得ました。予選は2009年12月に開催されました。
予選の持ち時間は、対局時計使用で各40分、持ち時間を使い切った後は1手60秒未満というルールでした。

本戦トーナメント
予選を通過した選手やシード選手（前期の天河を除く）によって、挑戦者決定トーナメントが行われました。このトーナメントを勝ち抜いた一名が、天河保持者への挑戦権を得ました。

参加者数: 第1期は予選通過者8名、第2期は予選通過者7名が本戦に出場しました。
対局時期: 第1期・第2期は予選開始年の翌年1月・2月、第3期は2010年9月から翌年2月、第4期は2011年11月から翌年2月にかけて行われました。
持ち時間: 対局時計使用で、対局が進むにつれて持ち時間が増える設定でした。1回戦・2回戦は各40分、準決勝は各1時間、そして挑戦者決定戦は各2時間でした。いずれの対局も、持ち時間を使い切った後は1手60秒未満で指し進める必要がありました。

三番勝負
本棋戦の最高峰であり、新たな天河が誕生する舞台が三番勝負です。前期の天河保持者と、本戦トーナメントを勝ち上がった挑戦者が、最大三局を戦いました。

第1期特別ルール: 創設期である第1期に限り、本戦トーナメントの決勝がそのまま三番勝負として行われ、その勝者が初代天河となりました。
対局場所: 主にLPSA対局場で行われましたが、第1期第1局は京王プラザホテル、第2期第2局は鎌倉古陶美術館といった特別な場所でも開催されたことがあります。
持ち時間: 対局時計使用で各3時間。持ち時間を使い切った後は1手60秒未満で指すルールでした。三番勝負は全て1日制で行われました。

現在の状況

「NTTル・パルク杯天河戦」は、2012年に行われた第4期を最後に、それ以降の開催が行われていません。主催者であるLPSAから公式な終了のアナウンスは出ていませんが、長期間開催されていないことから、現在では事実上の休止状態にあると見られています。

この棋戦は、LPSA所属棋士にとって重要な対局機会であり、「天河」という独自の称号を目指す舞台として注目を集めましたが、その歴史はわずか4期で途絶えることとなりました。

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