NbFz (戦車)

NbFz（Nb.Fz.）

概要

NbFz、正式名「ノイバウファールツォイク」は、ドイツで設計された多砲塔戦車です。名前は「新造-車輌」を意味し、1930年代初頭に開発が試みられたにも関わらず、実用化には至りませんでした。戦車の開発は1920年代後半から始まり、特に1932年に陸軍兵器局がラインメタル社とクルップ社に「グローストラクトーア」の開発を指示したことが大きな転機となります。当時、ヴェルサイユ条約により戦車の保有が制限されていたドイツは、その活動を隠すために「大型トラクター」という名称を用いました。

この「グローストラクトーア」計画の初期段階では、既存のトラクターに見せかけた戦車が試作されていました。合計で6輌が製造され、これらの開発経験がNbFzに活かされたことも注目に値します。1932年7月には本格的にNbFzの開発指示が下され、エッセンのクルップ社やZF社が開発に参加することとなります。

仕様と設計

1932年には仕様書が整備され、主砲に「7.5cm砲」、さらには「7.92mm機関銃」を4～5挺備えることが決定しました。戦闘重量は15トン以下、装甲は2cm砲に耐えられる程度であり、エンジン出力は250hpの空冷型というものでした。続いて、デュッセルドルフのラインメタル社もプロジェクトに加わり、両社間での契約による競作が始まりました。

1933年には主砲塔に7.5cm砲と3.7cm砲を装備することが決まると、同年には主砲塔のプロトタイプが完成。さらに、重量制限が22トンに引き上げられ、装甲も強化されました。また、1934年から1935年にかけて、軟鋼で製作された試作車両が2輌（1号車と2号車）完成し、両者の主砲塔にはそれぞれ異なる設計が施されました。

NbFzは中央に主砲塔、前方と後方に副砲塔を持つ独特な構造でした。主砲塔には2門の戦車砲と1丁の機関銃が同軸で装備され、副砲塔にも機関銃が配置されました。模擬戦車としての機能を果たすには設計が複雑過ぎたものの、技術的な発展に貢献しました。1935年には防弾鋼製の車両が発注され、実用試験車両が完成しましたが、その時点ですでに多砲塔戦車の概念は時代遅れとされ、開発は1936年末に終了しました。

戦歴

第二次世界大戦が開戦すると、ドイツは戦車を必要としていたため、実用試験車両の3輌が特別装甲大隊に編入され、1940年4月にノルウェー侵攻作戦に参加しました。この戦闘で歩兵支援活動を行なったものの、故障し自爆処分される1輌を除いては、その後撤回されました。

その後のバルバロッサ作戦でも実戦に投入されましたが、KV-1重戦車に直面し、1輌が撃破されました。生き残った車両は、その強固な外見からプロパガンダに利用されました。実際、戦時中のドイツ軍では多砲塔戦車の量産がされているかのように見せかける戦略がとられましたが、同時にパンター戦車の開発も進められていました。このように、NbFzは特異な戦歴を持ちながら、次第に自動車業界と軍需産業における重要な技術として位置づけられました。

もう一度検索