OPS-28

海上自衛隊艦艇用レーダーOPS-28：低空警戒から対艦ミサイル防衛まで

OPS-28は、日本無線（現・JRC）が開発したCバンドのパルス・ドップラーレーダーです。海上自衛隊の艦艇に広く搭載され、低空警戒や対水上捜索レーダーとして運用されています。昭和50年度計画で建造された護衛艦「しらね」への搭載を皮切りに、継続的な改良が重ねられてきました。IFFアンテナの取り付け方法などの違いにより、複数の型式が存在します。

多機能レーダー：対水上捜索から対艦ミサイル防衛まで

OPS-28は、単なる対水上捜索レーダーの枠を超えた存在です。低空飛行する対艦ミサイル（シースキマー）の探知にも対応できるよう設計されており、アメリカ海軍のTAS Mk.23レーダーと類似の性能を持つとされています。従来の対水上レーダーでは、シースキマーの正面からの探知距離は電波の見通し線程度でしたが、OPS-28はそれをほぼ倍増しました。

この高い探知能力を実現するため、OPS-28は周波数アジリティ、FMパルス圧縮、移動目標表示（MTI）などの高度な信号処理技術を搭載しています。OPS-28Bでは、表面弾性波を利用した分散形遅延線のパルス圧縮技術を採用することで、目標の誤検出率の低下と信号処理利得の向上を実現しました。さらに、OPS-28Cではシステム感度を10デシベル向上させ、探知性能の大幅な強化を達成しています。

送信機の高出力化と国産化への取り組み

初期のOPS-28では、送信機にはヒューズ社製の水冷式進行波管（TWT）が使用されていました。しかし、高価で交換に時間がかかるという課題がありました。そこで、通常航海時や予備として、マグネトロン送信機との切り替えが可能なシステムが導入されました。その後、新日本無線によるTWTの国産化と長寿命化が成功。OPS-28Dからは空冷式TWTの採用により、維持管理の負担も軽減されました。OPS-28Eでは、パルス圧縮処理のデジタル化や、海面からの反射や降雨の影響を低減する信号処理技術も導入され、性能はさらに向上しました。

アンテナと搭載艦艇

OPS-28は、導波管スロットアレイアンテナを採用しており、動揺修正装置上に設置されています。ロール角15度、ピッチ角7度までの動揺に対応可能です。護衛艦「いしかり」とゆうばり型[[護衛艦]]に搭載されたOPS-28-1は、ビームパターンを変更することで、より本格的な対空警戒能力を備えていました。ただし、これらの艦艇では、敵味方識別装置（IFF）のアンテナは本体アンテナとは別に設置されています。OPS-28Eでは、アンテナのレーダー反射断面積（RCS）を低減する形状に変更されています。

OPS-28は、多様な海上自衛隊艦艇に搭載されています。ヘリコプター搭載護衛艦（DDH）、ミサイル搭載護衛艦（DDG）、汎用護衛艦（DD）、護衛艦（DE）、輸送艦、補給艦など、その活躍の場は多岐に渡ります。具体的な搭載艦艇としては、しらね型、はるな型、いずも型、こんごう型、あたご型、はつゆき型、あさぎり型、むらさめ型、たかなみ型、いしかり、ゆうばり型、あぶくま型、おおすみ型、とわだ型、ましゅう型などが挙げられます。ただし、あたご型[[護衛艦]]では、BMD改修時にOPS-28は撤去されています。

まとめ

OPS-28は、長年に渡り海上自衛隊の艦艇を防衛する上で重要な役割を果たしてきたレーダーです。その性能は、継続的な改良によって進化を続け、対水上捜索から対艦ミサイル防衛まで、幅広い任務に対応できる能力を備えています。日本の防衛技術の進歩を象徴するレーダーとして、その歴史と技術的な側面を理解することは、日本の防衛力の現状を知る上で非常に重要です。

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