OpenServer

OpenServerとは



OpenServerは、かつてSanta Cruz Operation（SCO）によって開発されたクローズドソースのオペレーティングシステム（OS）です。当初はSCO UNIX、SCO Open Desktop（SCO ODT）として知られていました。SCOは後にSCOグループに買収され、現在はXinuosが所有しています。

初期のOpenServerはUNIX System Vをベースにしていましたが、OpenServer 10以降はFreeBSDをベースとした設計へと変更されました。

歴史



SCO UNIX/SCO Open Desktop


SCO UNIXは、マイクロソフトのXENIXから派生したSanta Cruz Operation版の後継として登場しました。UNIX System V Release 3.2にXENIXのデバイスドライバやユーティリティを統合したものです。1989年には、SCO UNIX System V/386 Release 3.2.0がSCO XENIXの後継としてリリースされました。

基本OS製品にはTCP/IPネットワーク機能やX Window Systemは含まれておらず、追加料金を払うことでアドオンパッケージとして利用可能でした。その後、SCOはアドオンパッケージを含めた製品をSCO Open Desktopとしてリリースしました。

1991年には、漢字対応版である「漢字Open Desktop」が開発され、OEM提供が開始されました。これは、80386/80486 CPU搭載のパーソナルコンピュータ上で動作するSCO UNIX SystemV/386 Release3.2に、グラフィカルユーザインターフェイスのOSF/Motifを装備した統合化UNIXを日本語化したものです。1994年には、SMP（対称型マルチプロセッシング）に対応したパッケージであるSCO MPXがリリースされました。

同時期に、AT&TはXENIX、BSD、SunOS、UNIX System V Release 3の機能を統合したUNIX System V Release 4を完成させました。SCO UNIXはUNIX System V Release 3ベースのままでしたが、Release 4の新しい機能を取り入れていきました。

1992年にリリースされたSCO UNIX 3.2v4.0とOpen Desktop 2.0では、長いファイル名とシンボリックリンクのサポートが追加されました。1995年のリリースで、OpenServer Release 5.0.0と名称が変更され、ELF実行形式と動的共有ライブラリのサポートが追加されました。さらに、カーネル構造の多くが動的となりました。

SCO OpenServer


1995年にリリースされたSCO OpenServer 5は、SCOの主要な製品となり、PizzaNet（ピザハットとの提携による最初のインターネットベースの食品配送システム）やSCO Global Access（Open Desktop Liteベースのインターネットゲートウェイサーバ）などの製品基盤となりました。その大規模な導入実績から、SCO OpenServer 5は積極的に保守され、2009年4月までSCOによる主要なアップデートが行われていました。

2005年に初めてリリースされたSCO OpenServer 6は、AT&T UNIX System V Release 4.2MPとノベルのUnixWare 7を統合したものがベースです。SCO OpenServer 6は、巨大ファイル、巨大メモリ、マルチスレッド化されたカーネル（軽量プロセス）をサポートしました。このOpenServerとUnixWareを統合したコードベースはUNIX System V Release 5（SVR5）と呼ばれました。SCOはOpenServer 6用にSVR5を独占しているため、SCO以外の開発会社やリセラーでSVR5を利用しているところはありません。

SCO OpenServer 6には、SCO OpenServer 5のアプリケーションとバイナリ互換性、OpenServer 5のシステム管理、OpenServer 5のユーザー環境を統合したUnixWare 7のSVR5カーネルが含まれていました。

SCO OpenServerは主に中小企業（SMB）市場向けに販売され、スモールオフィス、POSシステム、複製されたサイト、バックオフィスデータベースサーバー開発で広く使用されました。SCO OpenServerの大規模な顧客には、マクドナルド、タコベル、Big O Tires、ピザハット、コストコファーマシー、NASDAQ、トロント証券取引所、ブラジル[[銀行]]、ロシアや中国の多くの銀行、インドの鉄道システムなどが含まれます。

UnixWareとの統合


1995年、SCOはUnixWareの配布権とSystem V Release 4コードベースをノベルから購入しました。これにより、SCOはOpenServerの以降のリリースでUnixWareのコードの一部を再利用できるようになりました。Release 6が登場するまでは、UnixWareからの流用は主にコンパイラシステム、Uniform Driver Interfaceドライバフレームワーク、USBサブシステムに限られていました。

1990年代末には、SCOのUNIXシステムを販売する付加価値再販業者（VAR）が世界中に約15,000社存在しました。

2000年8月2日、SCOはUnixWareとOpenServerを含む部門をカルデラシステムズに売却することを発表しました。この買収は2001年5月に完了しました。旧SCOの残りの部門はタランテラに社名を変更し、2002年にカルデラシステムズはSCOグループに社名を変更しました。

SCOグループの下で


SCOグループは、OpenServerの開発と保守を継続しました。現在も古い5.0.x（3.2v5.0.xベース）を保守しており、最新バージョンは5.0.7です。

2005年6月22日、新しい6.0.xの最初のリリースであるOpenServer 6.0（コードネーム："Legend"）がリリースされました。SCO OpenServer 6はUNIX System V Release 5（SVR5）のカーネルをベースにしていますが、このカーネルはUNIX System V Release 4.2MPとUnixWare 7のコードベースを統合したものです。OpenServer 6.0の機能には、C、C++、JavaのアプリケーションにおけるPOSIXインタフェース経由のマルチスレッドサポートが含まれます。OpenServer 6の特徴として、カーネルレベルのマルチスレッド（5.0.xにはない）があります。

また、SMPサポートが強化され（最大32プロセッサまで）、パーティションごとに1テラバイトまでサポート（NFSv3経由でさらに大きなファイルをサポート）、ファイルシステム性能の強化、最大64GBのメモリサポートが提供されました。

OpenServer 6.0は、XENIX 286向けに開発されたアプリケーションとの互換性も考慮しています。さらにSCOは、価格設定とライセンス条件を変更し、OpenServer 5.0.7と同価格で2倍のユーザー数、4倍のCPU数、4GBのメモリサポートを提供しました。

長いSCO・Linux論争の後、SCOグループは2011年に倒産しました。

UnXis / Xinuos（2011年 - 現在）


2011年、UnXisはOpenServerとUnixWareの権利を買収し、後に社名をXinuosに変更しました。

2015年6月、XinuosはFreeBSDオペレーティングシステムベースのOpenServer 10を発表しました。同時に、既存の顧客に古いOS製品からのマイグレーションパスを提供しました。2015年12月、XinuosはOpenServer 5、OpenServer 6、UnixWare 7の「Definitive」バージョンをリリースしました。これらはOpenServer 10と上位互換性があります。

バージョン



  • - SCO UNIX System V/386 Release 3.2.0
  • - SCO Open Desktop
  • - SCO UNIX 3.2v4.0
  • - OpenServer Release 5.0.0
  • - SCO OpenServer 5
  • - SCO OpenServer 6
  • - OpenServer 10

関連項目



  • - Santa Cruz Operation
  • - SCOグループ対ノベル事件

脚注





参考文献



  • - 「SuperASCII 1991年1月号」第2巻第1号、株式会社アスキー出版、1991年1月1日。

外部リンク



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