PENALTY LIFE

the pillowsの11枚目のアルバム『PENALTY LIFE』は、バンドが新たな段階へと進む上で重要な作品となりました。このアルバムは、山中さわおが自身の内面と深く向き合い、その感情を楽曲に落とし込んだ作品として知られています。

アルバムの核となる「昇らない太陽」は、山中がライブ中にふと感じた虚無感や、かつてのように音楽に没頭できない自分への葛藤から生まれた楽曲です。この曲は、第三期に見られる内省的な歌詞と沈んだメロディが特徴ですが、山中自身はこの曲を完成させたことで、まだ良い曲を作れるという確信を得ることができました。この経験がアルバム制作の原動力になったと語られています。

また、隠しトラックとして収録されている「僕はかけら」は、インディーズ時代のアルバム『90'S MY LIFE』に収録されていた曲のセルフカバーです。このセルフカバーは、1テイクで録音され、一切手を加えずに収録されました。一種の余興として行われたこの試みは、ツアーで披露されたことで、バンド自身にとっても過去の楽曲を振り返る良い機会となりました。このセルフカバーがきっかけとなり、後に廃盤となっていた『90'S MY LIFE』に未発表曲を加えた『90'S MY LIFE returns』の発売や、セルフカバーアルバム『TURN BACK』のリリースに繋がりました。

アルバムタイトルである『PENALTY LIFE』は、「無期懲役」を意味し、もはやロックミュージックから逃れることはできないというバンドの覚悟を表しています。第三期のオリジナルアルバムの中では珍しく、アルバムタイトルを冠した楽曲は収録されていませんが、「モールタウン プリズナー」のサビ部分で「It's penalty life」と歌われています。このフレーズは、アルバム全体のテーマを象徴する重要な要素となっています。

アルバムのジャケットデザインは、シングル「ターミナル・ヘヴンズ・ロック」と同様にSHIKACHAN（KEN-ICHI OHSHIKA）が担当しており、一貫した世界観を表現しています。

収録曲は以下の通りです。

1. Dead Stock Paradise
2. ロンサムダイヤモンド
3. Freebee Honey
4. ターミナル・ヘヴンズ・ロック
5. 昇らない太陽
6. ファントムペイン
7. I know you
8. ムーンマーガレット
9. スーパートランポリン スクールキッド
10. モールタウン プリズナー
11. 傷跡の囁き 誰もいないパラダイス
12. 僕はかけら（隠しトラック）

全曲、作詞・作曲は山中さわおが担当していますが、9曲目の「スーパートランポリン スクールキッド」のみ作曲は山中さわお、作詞は山中さわお以外の人物が担当しています。

演奏メンバーは以下の通りです。

山中さわお：Vocal, Guitar
真鍋吉明：Guitar, Programming
佐藤シンイチロウ：Drums
鈴木淳：Bass
竹中仁見 (SALON MUSIC)：Chorus (#5)
monchi & maruchi：Voice (#9)

『PENALTY LIFE』は、the pillowsが自己の内面と向き合い、新たな音楽性を模索する上で重要な転換点となったアルバムと言えるでしょう。内省的な歌詞と深みのあるメロディ、そして過去の楽曲への回顧が、バンドの未来を切り開く原動力となった作品です。

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