PL-15

PL-15（霹靂-15、拼音表記ではPī Lì-15）は、中国によって開発された最新世代の長射程空対空ミサイルです。このミサイルは、主に中国人民解放軍空軍の主要な航空戦力として運用されており、2016年頃から実戦部隊への配備が開始されたとされています。

PL-15は、現代の航空戦闘における長距離交戦の要求に応えるべく設計されました。全長は約4メートルと、この種のミサイルとしては比較的大きな部類に入ります。推進システムには、発射後の迅速な加速と中途での最適な速度維持を可能にするデュアルスラストロケットモーターを採用しています。これにより、ミサイルは発射後、短時間でマッハ4に達する高速飛行を実現します。

誘導システムには、先進的なアクティブ・フェーズドアレイレーダー（AESA）を搭載したシーカーヘッドが組み込まれています。このAESAシーカーは、高い精度での目標探知・追尾能力に加え、複数の目標に同時に対応する能力を持ちます。また、電子妨害（ECM）が激しい環境下においても、安定した追尾性能を維持できる対妨害能力の向上も、PL-15の大きな特徴の一つです。この先進的な誘導システムと高い機動性能により、現代の高性能ジェット戦闘機のような、高い機動性を持つ目標に対しても効果的に対応できると評価されています。

PL-15の最大の特徴は、その長大な射程です。公式な数値は公表されていませんが、概ね200キロメートル程度の距離にある目標と交戦可能であると広く推定されています。これは、中国がそれまで主力として運用していたPL-12空対空ミサイル（最大射程約100キロメートル）と比較すると、射程がほぼ倍増したことになります。PL-12に比べて大型化されたPL-15は、長距離でのレーダー探知能力や追尾能力も向上しており、遠距離からの「見えない」攻撃を可能にしています。

この長射程性能は、中国人民解放軍空軍の戦術・戦略において重要な意味を持ちます。特に、敵の戦術航空機の行動を阻止・拒否する「接近阻止・領域拒否」（A2/AD）戦略の要として位置づけられており、その能力を大きく向上させています。PL-15は、敵の戦闘機だけでなく、より後方の安全な空域で活動する空中給油機や早期警戒管制機（AWACS）といった、航空作戦における高価値目標を遠距離から攻撃・無力化することを主眼に置いて開発されました。

国際的な同世代のミサイルと比較すると、PL-15はアメリカのAIM-120D AMRAAMを性能面で凌駕しているという評価や、欧州のミーティアに匹敵する最大射程を持つといった分析がなされています。これは、中国が空対空ミサイル技術において世界の最先端レベルに到達していることを示唆するものです。

PL-15は、中国の最新鋭戦闘機であるJ-20をはじめ、J-10C、J-11B、J-16といった主要な戦闘機に搭載されています。2018年に開催された中国国際航空宇宙博覧会では、J-20戦闘機の機内兵装スペースにPL-15が搭載された状態で公開され、その存在感を示しました。また、中国だけでなく、パキスタン空軍のJF-17戦闘機などにも輸出・運用されており、その影響力は広がりつつあります。

結論として、PL-15は長大な射程、先進的なAESA誘導システム、高い対妨害能力を備えた現代の高性能空対空ミサイルであり、中国人民解放軍空軍の航空優勢確保およびA2/AD能力において、極めて重要な役割を担っています。

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