POWER7

POWER7：IBMが誇る高性能プロセッサ

POWER7は、IBMが2010年2月に発表したPower Architectureベースの64ビットマイクロプロセッサです。その強化版であるPOWER7+が2012年10月に登場しました。前身のPOWER6から大幅な進化を遂げ、後継のPOWER8へと繋がる重要な役割を果たしました。

開発と概要

POWER7は、IBMのロチェスター、オースティン、ベーブリンゲンなどの研究所で開発されました。POWER6の後継として、コア数の増加、同時マルチスレッディングの強化、eDRAMによるチップ上L3キャッシュの搭載など、多くの点で改良が加えられました。これにより、POWER6と比較して、コア単位で1.2倍、プロセッサ単位で2～5倍の性能向上を達成しました。さらに、AIXとの組み合わせで、仮想メモリをハードウェア的に圧縮する「Active Memory Expansion」機能や、コア数を減らすことでクロックアップとキャッシュを増やす「TurboCoreモード」など、高度な機能も備えています。

主な仕様

POWER7は、45nmプロセスで製造され、12億個のトランジスタを搭載しています。クロックスピードは3.0～4.14GHzで、チップあたり4、6、8コアのバリエーションがあります。各コアはSMT-4（同時マルチスレッディング）に対応しており、最大4スレッドを同時に実行できます。実行ユニットは12個、固定小数点数ユニットは2個、ロード/ストアユニットは2個、倍精度浮動小数点数ユニットは4個、ベクトルユニットは1個（Altivec VSXをサポート）、10進数浮動小数点数ユニットは1個、ブランチユニットは1個、コンディションレジスタユニットは1個です。

キャッシュは、L1キャッシュ（命令/データ）がコアごとに32KB、L2キャッシュがコアごとに256KB、共有L3キャッシュが32MBです。L3キャッシュはeDRAMで実装されており、SDRAMで実装した場合と比較してトランジスタ数を大幅に削減しています。メモリコントローラーはDDR3を2個搭載し、ピークバンド幅はチップあたり153GB/s、実行バンド幅はチップあたり101GB/sです。

また、POWER7には、エラー発生時に再実行してシステム停止を回避する「インストラクション･リトライ」機能があります。ソフトウェアエラーの場合は同じコアで、ハードウェアエラーの場合は別のコアで再実行します。

理論上の性能値は、モジュールあたり最大517.1GFLOPS、チップあたり最大258.6GFLOPS、コアあたり最大32.3GFLOPSです。最大32ソケットまで拡張可能です。チップ間のバンド幅は360GB/sです。

歴史

POWER7の開発は、アメリカ国防総省の[国防高等研究計画局]との契約に基づき、ペタスケールのコンピュータアーキテクチャを開発するプロジェクトの一環として行われました。IBMは、POWER7プロセッサ、AIXオペレーティングシステム、GPFSをベースとしたPERCSシステムを提案し、この契約を獲得しました。このプロジェクトでは、グローバル共有メモリ空間をサポートする改良されたハードウェアも開発されました。

POWER7は、2010年2月8日に、Power Systemsの各モデルとともに発表されました。その後、2012年9月にPOWER7+の詳細が発表され、10月にはPOWER7+を搭載したPower Systemsがリリースされました。2013年には、POWER7+搭載のエントリーおよびミッドレンジモデルも登場しました。

用途

POWER7は、主にサーバーやスーパーコンピューターで使用されました。IBM Power Systemsの各種モデルや、IBM BladeCenterのPower搭載ブレード、日立製作所のEP8000などで採用されています。また、スーパーコンピュータ分野では、日立製作所のSR16000シリーズや、PERCS（開発中止）、Blue Waters（開発中止）などのプロジェクトで使用されました。

その他

POWER7は、NTTデータ先端技術の各種ソリューションなど、幅広い分野で活用されました。その高性能と信頼性は、多くのユーザーに支持されました。

参照

関連情報として、Power Architecture、POWER、POWER6などの項目も参照してください。

外部リンク

IBM DeveloperWorks
IBM Won DARPA HPCS Phase-III
IBM Won DARPA HPCS Phase-II
IBM PERCS
POWER7に集まる注目：IBMとSunが次期RISCプロセッサを紹介 - ITMedia
IBM：POWER7で2010年に10PFLOPSを目指すことを改めて表明 - ガートナー
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POWER7 - POWER7+ 性能比較データ

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