Pbv 302

Pbv 302：スウェーデンの高機動装甲兵員輸送車

Pbv 302（Pansarbandvagn 302）は、スウェーデン陸軍の要求に応じて開発された、高い機動力を誇る装甲兵員輸送車です。ヘグランド（Hägglund and Söner、現BAE）社によって設計・製造され、1961年に就役しました。1966年から1971年まで生産が行われ、旧型のPbv 301を更新しました。1990年代から徐々にCV90に置き換えられ、2014年にスウェーデン陸軍から退役しましたが、その後も一部は保管され、2024年にはウクライナへの供与が決定しています。

概要

Pbv 302は、広い履帯と高い出力重量比により、優れた不整地走破性を実現しています。接地圧が低いため、夏季の泥濘地や冬季の雪上でも運用が可能です。ボルボ社製の10リッター270馬力ディーゼルエンジンを搭載しており、若干の準備で水陸両用能力を発揮できます。

主武装は、退役したサーブ29戦闘機から再利用されたイスパノ・スイザ804型20mm機関砲で、砲塔に装備されています。初期はベルト給弾式の榴弾と弾倉式の徹甲弾を使用していましたが、ベルト給弾方式のメンテナンス性の悪さと戦闘時の扱いにくさから、多目的弾薬用の30発入り弾倉に置き換えられました。

車両重量は14トンで、指揮官、操縦手、砲手の3名に加え、兵員8名を輸送可能です。兵員の降車は、通常は車体後部の両サイドに設けられたヒンジドアから行いますが、2枚の大型ルーフハッチを開放して、車上から戦闘を行うことも可能です。

路上での最大速度は時速65km、航続距離は300kmです。

派生型

Pbv 302は、合計650両が生産され、以下の様な派生型が存在します。

Pbv 302A: 基本となる兵員輸送・歩兵戦闘車型。
Pbv 302C: Pbv 302Aの改良型。追加装甲、強化されたサスペンション、より強力なエンジンと空調装置を備えています。主に国連やKFORの作戦に使用されました。
Stripbv 3021: 大隊・旅団司令官やその他の幹部用のC3I（指揮、統制、通信、情報）指揮車両。
Epbv 3022: 砲兵観測要員向けの観測車両。
Bplpbv 3023: 自走砲中隊に付属する砲兵中隊指揮統制車両。
Rlpbv 3024: 無線通信を管理する通信車両。

Pbv 302のシャーシを利用した派生型には、以下のものがあります。

Bgbv 82: 装甲回収車。
Brobv 941: 架橋車両。
Pbv 3026: 医療搬送車両。

また、Pbv 302のシャーシは、水陸両用戦車のIkv 91と共通しています。

運用国

調達予定国

ウクライナ：2024年5月29日、スウェーデン政府は保有する全Pbv 302をウクライナに供与すると発表しました。

過去の運用国

スウェーデン：2014年に退役し、CV90に置き換えられました。2023年時点で239両、2024年には172両を保有しています。

脚注

関連項目

軍用装甲車一覧
スウェーデン陸軍

外部リンク

Hägglunds Vehicle AB site
* Pbv 302

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