Ikv 91

Ikv 91：スウェーデンの水陸両用戦車

Ikv 91（Infanterikanonvagn 91）は、スウェーデンのヘグルント社（現BAE システムズ・ランド・アンド・アーマメンツ）が開発・製造した水陸両用戦車です。森林や湖沼が国土の大半を占めるスウェーデンの地形に合わせ、水上航行能力を持つ戦車として開発されました。

開発と製造

Ikv 91は、歩兵部隊への直接的な火力支援と対戦車戦闘を目的として開発されました。1969年に試作車が完成し、1974年には先行量産車が製造されました。1975年から量産が開始され、1978年までに合計210両が製造されました。

1980年代には、主砲を105mm戦車砲に換装する計画が持ち上がりましたが、砲塔と車体の構造強度から105mm砲の搭載は困難と判断されました。その後、ラインメタル社製のRh-105-11低反動砲を搭載した試作車「Ikv 91–105」が製造されました。この105mm低反動砲型はインド軍が興味を示し、ボフォース社製の105mm低反動砲、水上航行能力の強化、サーブ社製の赤外線暗視システムの搭載など、インド軍の要求に応じた改良が施されました。

しかし、Ikv 91は開発中の新型歩兵戦闘車（Stridsfordon 90|Stridsfordon_90）に置き換えられることが決定。Strf90の派生型として105mm低圧ライフル砲を搭載した戦車駆逐車型の開発も決定したため、Ikv 91–105は試作のみで終わりました。

構造

Ikv 91は、部品の多くをスウェーデン国内の企業で製造し、高い国産化率を実現しています。

車体

車体は圧延防弾鋼板製の溶接構造で、サイドスカートを装着しています。水上航行能力を持たせるために軽量化されており、防御力は装甲兵員輸送車程度です。車体前部には、水上航行時の波きりのための折畳式トリムベーン（波切板）が装備されています。砲塔の旋回と主砲の俯仰は油圧式です。砲塔側面には発煙弾発射機が5本ずつ、NBC防護装置も標準装備されています。

乗員は4名で、操縦手は車体前部中央に、砲手と車長が砲塔右側に前後に、装填手が砲塔左側に配置されています。

機関・駆動部

エンジンにはボルボ社製のTD120A 6気筒液冷ターボディーゼルエンジンを搭載し、軽量な車体と相まって路上最高速度65km/hを発揮します。変速機は米アリソン社製のHT7400トルクコンバータを採用しています。駆動部はヘグルンド製のPbv 302装甲兵員輸送車と共通のものが多く、トーションバー式の装輪やクラッチ・ブレーキ式操向機などが採用されています。水上航行はキャタピラの駆動によって行います。

兵装

主砲はボフォース製のKV90S73 90mm低圧砲で、戦後第一世代の西側諸国主力[[戦車]]（M48、61式[[戦車]]など）と同等の打撃力を持っていますが、砲安定装置は装備されていません。90mm低圧砲弾を59発搭載します。

照準機は車長用ペリスコープサイト（倍率10倍）、砲手用ペリスコープサイト（レーザー測距機内蔵、倍率10倍）を装備し、AGA社製の弾道計算機も搭載しています。暗視装置は装備されておらず、夜間戦闘能力は比較的劣りますが、砲塔後部に照明弾発射機を装備した車両もあります。

副武装として、Ksp 58 7.62mm機関銃を主砲同軸と装填手用ハッチに各1丁装備しています。

運用

製造された210両は全てスウェーデン陸軍に配備され、歩兵旅団内の機甲中隊に配属されました。一部の車両は機械化旅団の対戦車中隊に配備されましたが、後に戦車中隊に改編され、センチュリオン戦車に置き換えられました。

Ikv 91は、Sタンクと共にスウェーデンの武装中立政策の一翼を担いましたが、2000年代までにStrf 90に更新され、全車退役しました。

参考文献

田中義夫 編『戦車名鑑 1946~2002 現用編』光栄、2002年、ISBN 4-87719-927-6
(株)ムックハウス出版企画部 編『徹底解剖!世界の最強戦闘車両』洋泉社、2008年、ISBN 978-4-86248-293-8

外部リンク

スウェーデン語ページ'>OINTRES.SE＞Ikv91
戦車研究室＞Ikv.91水陸両用軽戦車
* YouTube harry4468 - Hagglunds Ikv-91 Tank Destroyer

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