Pop! OS

Pop!_OSとは

Pop!_OSは、アメリカのLinuxコンピューターメーカーSystem76が開発している、UbuntuをベースとしたオープンソースのLinuxディストリビューションです。特徴的なのは、COSMICと呼ばれるカスタマイズされたGNOMEデスクトップ環境を搭載している点です。System76製のコンピューターにプリインストールされることが多いですが、誰でもダウンロードしてインストールできます。

特徴

ハードウェアサポート: AMDとNVIDIAの両方のGPUを標準でサポートしており、ゲーム環境の構築が容易です。
セキュリティ: デフォルトでディスク暗号化が有効になっており、セキュリティに配慮しています。
ウィンドウ管理: ウィンドウとワークスペースの管理が合理化されており、効率的な作業が可能です。
キーボードショートカット: ナビゲーションに便利なキーボードショートカットが多数用意されています。
電源管理: 組み込みの電源管理プロファイルにより、バッテリー駆動時の動作を最適化できます。
開発環境: TensorFlowやCUDAを簡単にセットアップできるパッケージが含まれており、開発者にも便利です。

ソフトウェア

Pop!_OSは、フリーソフトウェアを中心に構成されています。ただし、Wi-FiやGPUのドライバー、メディアコーデックにはプロプライエタリなソフトウェアも使用されています。LibreOffice、Firefox、Gearyなどのデフォルトソフトウェアが付属しており、Pop!_Shopという独自のパッケージマネージャーで追加のソフトウェアをダウンロードできます。

パッケージ管理にはAPTを使用し、以前はSnapやFlatpakは使用されていませんでしたが、バージョン20.04LTSからFlatpakのサポートが追加されました。ソフトウェアは、UbuntuのリポジトリとPop!_OS独自のリポジトリから入手可能です。また、GNOME ShellインターフェースをカスタマイズしたPop!_OSテーマが採用されています。

その他の特徴

デュアルGPU: デュアルGPU搭載のラップトップでは、GNOMEシステムメニューから、ハイブリッド、ディスクリート、iGPUのみの3つの表示モードを切り替えられます。
電源管理: Intel Clear Linuxをベースとした電源管理パッケージを搭載しています。
ディスプレイ: ディスプレイマネージャとしてXorgを使用し、Waylandはオプションで利用できます。
TensorFlow/CUDA: Pop!_OSリポジトリからパッケージをインストールするだけで、TensorFlowやCUDA対応プログラムを追加できます。
リカバリ: ユーザーファイルを保持したままシステムを「リフレッシュ」できるリカバリパーティションを提供します（初期インストール時に設定した場合のみ）。
COSMICデスクトップ: バージョン21.04以降、COSMICと呼ばれる独自のGNOMEベースのデスクトップ環境を搭載しており、ワークスペースやアプリケーションの管理がより効率的になりました。ドックも標準で搭載されています。

新しいデスクトップ環境の開発

System76は、GNOMEに依存しない新しいデスクトップ環境を開発すると発表しました。このデスクトップ環境はRustで記述され、COSMICデスクトップのコンセプトを踏襲しながら、GNOMEの制約に縛られない、より自由度の高いデスクトップ環境を目指しています。

インストール

インストール用のISOイメージは、AMD製GPU向けとNVIDIA製GPU向けの2種類が用意されています。適切なISOファイルをダウンロードし、EtcherやUNetbootinなどのツールでUSBフラッシュドライブやDVDに書き込むことでインストールできます。インストーラーは、当初Ubiquityを使用していましたが、後にElementary OSとの協力で開発されたカスタムインストーラーに変更されました。

リリース履歴

Pop!_OSはUbuntuをベースとしており、Ubuntuのリリースサイクルに準じています。以下は主なリリースとその特徴です。

17.10: Ubuntu 17.10をベースとした最初のリリース。Ubuntu GNOMEをカスタマイズしたもので、いくつかのデフォルトアプリケーションの変更や設定の調整が行われました。
18.04 LTS: 電力プロファイル、GPU切り替え機能、HiDPIサポート、フルディスク暗号化、Pop!_OSリポジトリへのアクセスが追加されました。
18.10: 新しいLinuxカーネル、グラフィックスタック、テーマの変更、更新されたアプリケーション、Pop!_Shopの改善が含まれました。
19.04: アプリケーションウィンドウのヘッダーの上下幅を小さくする「スリムモード」オプション、ダークモード、新しいアイコンセットが導入されました。
19.10: カスタムTensorFlowツールチェーン管理ツールTensorman、多言語サポート、Adwaitaベースの新しいテーマが追加されました。
20.04 LTS: 自動タイリング、拡張キーボードショートカット、ワークスペース管理が導入され、Flatpakのサポート、ハイブリッドグラフィックモード、ファームウェアの自動更新などが追加されました。
20.10: スタック可能なタイルウィンドウ、フローティングウィンドウの例外、フラクショナルスケーリング、ハイブリッドグラフィックスでの外部モニターサポートが導入されました。
21.04: COSMICデスクトップ環境が導入され、ドック、ワークスペース/アプリケーションの分割、新しいアプリランチャー、ウィンドウタイリング機能などが追加されました。
21.10: GNOME 40、新しい「Vertical Overview」拡張機能、新しいアプリケーションメニュー、Raspberry Pi 4のTech Previewサポートが追加されました。
22.04 LTS: System76 COSMIC UXを備えたGNOME 42ベースが含まれ、Pop!_OSの自動更新/アップグレード機能、新しいサポートパネル、ダーク/ライトモードでの背景変更機能、Pop!_Shopの大幅な改装などが追加されました。

リリースサイクル

Pop!_OSはUbuntuと同様に、4月と10月に6ヶ月ごとに新しいリリースがあります。LTSリリースは偶数年の4月に2年ごとに行われ、LTS版は5年間、非LTS版は次のリリース後3ヶ月間サポートされます。

まとめ

Pop!_OSは、ハードウェアとの親和性が高く、特にSystem76のコンピューターでその性能を最大限に発揮します。しかし、汎用的なLinuxディストリビューションとしても優れており、使いやすさ、セキュリティ、開発環境の整備を重視するユーザーにおすすめです。

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