Protocol Data Unit

プロトコルデータユニット（PDU）とは

電気通信におけるプロトコルデータユニット（PDU）とは、コンピュータネットワーク上のピアエンティティ間で送受信される、最小の情報単位を指します。PDUは、通信プロトコルで定義された制御情報（ヘッダ）部分と、実際に転送するデータであるペイロードから構成されます。ネットワークの各層で異なる形式のPDUが用いられ、データの効率的な送受信を支えています。

PDUの構造

一般的に、PDUは次の2つの主要な部分から構成されます。

1. ヘッダ (Header): 通信プロトコルによって定義される制御情報が含まれます。送信元や宛先のアドレス、シーケンス番号、エラー検出コードなどが含まれます。
2. ペイロード (Payload): 実際に転送されるデータ本体です。

通信プロトコルスタックにおけるPDU

通信プロトコルスタックの階層化アーキテクチャでは、各層が特定のデータ交換に合わせて調整されたプロトコルを実装します。このため、各層で扱われるPDUの形式は異なります。例えば、TCPプロトコルはコネクション型転送モードを使用し、そのPDUはセグメントと呼ばれます。一方、UDPプロトコルはコネクションレス型転送モードを使用し、PDUとしてデータグラムを使用します。インターネットプロトコルスイートの下位層であるインターネット層では、ペイロードの種類に関わらず、PDUはパケットと呼ばれます。

OSI参照モデルにおけるPDU

OSI参照モデルの各層におけるPDUは次のようになります。

物理層: データはビット列として表現されます。
データ[[リンク層]]: データはフレームとして表現されます。
ネットワーク層: データはパケットとして表現されます。
トランスポート層: データはセグメントとして表現されます。
セッション層、プレゼンテーション層、アプリケーション層: データはデータ単位として表現されます。

特定のOSI階層の文脈においては、PDUはその階層におけるデータ表現の同義語として使用されることがあります。

インターネットプロトコルスイートにおけるPDU

インターネットプロトコルスイートの各層におけるPDUは次のようになります。

リンク層: データはフレームとして表現されます。
インターネット層: データはパケットとして表現されます。
トランスポート層: データはセグメント（TCPの場合）またはデータグラム（UDPの場合）として表現されます。
アプリケーション層: データはメッセージとして表現されます。

イーサネット上のTCP/IPでは、物理層のデータはイーサネットフレームによって転送されます。

ATMにおけるPDU

ATM（Asynchronous Transfer Mode）ネットワークでは、データ[[リンク層]]のPDUはセルと呼ばれます。ATMセルは固定長の53バイトで構成され、効率的なデータ転送を実現します。

メディアアクセス制御プロトコルデータユニット (MPDU)

メディアアクセス制御プロトコルデータユニット（MPDU）は、OSI参照モデルに基づいて通信システム内のメディアアクセス制御（MAC）エンティティ間で交換されるメッセージです。MPDUは、MACサービスデータユニット（MSDU）よりも大きくなるシステムでは、パケットアグリゲーションによって複数のMSDUに分割されることがあります。逆に、MPDUがMSDUよりも小さいシステムでは、パケットセグメンテーションによって、1つのMSDUが複数のMPDUを生成することがあります。

トランスポートプロトコルデータユニット (TPDU)

トランスポートプロトコルデータユニット（TPDU）は、ペイロードメッセージの先頭に数バイトのルーティングヘッダを追加したメッセージカプセル化フォーマットです。TPDUには、オーバーヘッドTPDUとバイトあたりのオーバーヘッドの2種類の処理オーバーヘッドがあります。

まとめ

PDUは、ネットワーク通信においてデータの効率的な転送を実現するための基本的な要素です。各プロトコル層で異なる形式のPDUが定義され、ネットワークの複雑な処理を支えています。PDUの理解は、ネットワークプロトコルを深く理解する上で重要です。

関連項目

フレーム (ネットワーク)
MAC service data unit
Smart card application protocol data unit

外部リンク

* comp.protocols.iso FAQ (search for "PDU")

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