Q級駆逐艦

Q級駆逐艦

Q級駆逐艦は、第二次世界大戦勃発を受けてイギリス海軍が発動した戦時緊急計画に基づいて建造された駆逐艦の艦級です。1940年度の戦時予算で8隻が建造され、1941年から1942年にかけて順次就役しました。この艦級は、戦時の要求に応えるために、従来の駆逐艦設計を基にしつつも、より迅速な建造と戦況に合わせた改良が施されました。

来歴

大戦勃発直後、イギリス海軍は駆逐艦の緊急増産を決定しました。当初、O級やP級といった艦級が発注されましたが、これらは既存の設計をベースにしたもので、新たな戦時要求への対応や急造に適した設計とは言えませんでした。そこで、1939年末に新しい設計案が作成され、この設計を初めて採用したのがQ級です。当初は「カブス（Cubs）」というコードネームで呼ばれていました。

カブス計画では、急速な建造が求められたため、設計は中間的なものとなり、既存の技術を最大限に活用することとされました。この建造計画のために、ライオン級戦艦の建造が一時棚上げされることになりました。

設計

基本設計はK級駆逐艦を踏襲しており、単煙突と船首楼型の船型を採用しています。ただし、全長をわずかに延長し、巡航性能向上のためにトランサム・スターンが導入されました。艦内の居住区画配置も見直され、燃料搭載量を増加させつつも、復原性を向上させることに成功しました。横メタセンタ高さ（GM値）は、J級よりも大幅に向上しています。

機関は、K級とほぼ同じアドミラルティ式3胴型水管ボイラーとパーソンズ式オール・ギヤード・タービンを搭載し、出力は40,000馬力です。ただし、蒸気温度をわずかに上昇させることで、出力マージンを確保しています。燃料搭載量の増加や燃料庫の転用などによって、航続距離の延伸も図られました。

電源システムは、K級に近い構成で、タービン発電機とディーゼル発電機を搭載しています。また、減速機室には、待機運転用のディーゼル発電機が追加されました。

装備

装備面では、O級やP級の構成が踏襲されました。主砲には、45口径12cm砲を4基搭載しました。射撃指揮装置はトライバル級に準じた構成となり、対空用のMk.II(W)方位盤と対水上用のDCT方位盤が搭載されました。射撃盤としては、トライバル級で使用されていたものがベースとなっています。

当初は高角砲の搭載も計画されていましたが、急降下爆撃機への有効性が疑問視されたため、装備されませんでした。代わりに、対空兵装として40mm4連装機銃（ポンポン砲）と20mm機銃が搭載されました。対艦兵装としては、21インチ4連装魚雷発射管を2基搭載しています。後に、ポンポン砲や後部魚雷発射管が撤去され、40mm単装機銃や20mm機銃が増備されました。

運用

大戦中に、2隻が撃沈されました。終戦までに生き残った6隻のうち、2隻は建造中にオーストラリア海軍に移管され、残りの4隻も戦後、オーストラリア海軍とオランダ海軍に譲渡・売却されました。イギリス海軍での本級の在籍期間は、実質3年程度と非常に短く、各国海軍で運用されました。オーストラリア海軍に移管された5隻のうち、4隻は後にイギリス海軍の15型フリゲートに準じた改修を受けました。

同型艦

[同型艦の一覧は省略]

脚注

[脚注は省略]

参考文献

[参考文献は省略]

関連項目

[関連項目は省略]

もう一度検索