Qosmio

Qosmio（コスミオ）とは

Qosmioは、かつて東芝（現・Dynabook）が展開していたノートパソコンのブランド名であり、商標です。2004年から2013年まで、高性能なAVノートPCとして、特に映像・音楽などのエンターテイメント用途に特化した製品を提供していました。dynabookブランドのフラッグシップモデルとして位置づけられ、高品質な映像体験と高度な機能を備えていました。

dynabookとの関係

当初、dynabookブランドの中で高性能グラフィックスを搭載したモデルは「dynabook Qosmio」として区別されていましたが、2010年夏モデルからは「dynabook Qosmio」に統一されました。さらに、2010年秋冬モデルからは、テレビチューナー搭載モデルに「Qosmio」の名前が使われるようになりました。

Qosmioの特徴

高画質・高機能: 高画質化をセールスポイントとし、テレビチューナーを標準装備していました。
デスクトップPCの代替: 重量4kg以上とノートパソコンとしては重く、デスクトップパソコンの代替として利用されることが多かった。
AV機能: 東芝製レコーダーRDシリーズのUIを持つ「Qosmio AV Center」を搭載し、AV操作を快適にしていました。
SpursEngine: 一部のモデルには、Cell技術を応用したメディアプロセッサ「SpursEngine」が搭載され、リアルタイムビデオ圧縮や高速エンコード処理を実現していました。

歴史

Qosmioシリーズは、2004年夏モデルから2013年夏モデルまで、数々のモデルが発売されました。各モデルごとに、技術革新やユーザーのニーズに応じた進化が見られました。以下に、主なモデルの変遷を記載します。

2004年～2005年

2004年夏モデル: 15型XGA液晶を搭載したモデルが登場。最上位モデルにはCentrino対応のPentium Mが搭載されました。
2004年秋冬モデル: 15.4型ワイドWXGA液晶のF10シリーズと、17型ワイドWXGA液晶のG10シリーズが登場しました。
2005年春モデル: G系列に東芝RAIDを搭載した最上位仕様のG20が登場。ExpressCardが搭載されました。
2005年夏モデル: 「Qosmio AV Center」を搭載し、DLNAに対応。
2005年秋冬モデル: 512MBのUSBフラッシュメモリ同梱。DVDぴったり記録機能を搭載。G30シリーズが登場し、世界初の地上デジタルチューナー+17型ワイドフルHD液晶を搭載したモデルが登場しました。

2006年～2007年

2006年夏モデル: 世界初の地上デジタルTVチューナーとHD DVD-ROMドライブを搭載したG30/697HSが登場しました。
2006年秋冬モデル: F30/795LS、F30/795LSBL、G30シリーズ全機種に地上デジタル放送受信専用 室内用アンテナを同梱しました。
2007年春モデル: 世界初のHD DVD-Rドライブを搭載したG30/97Aが登場しました。OSがWindows Vista Home Premiumとなり、全機種に地上デジタルチューナーが搭載されました。
2007年夏モデル: 「Qosmio AVコントローラ」を新搭載しました。
2007年秋冬モデル: 業界初の地上デジタルTVチューナーを2基搭載。HD DVD-Rドライブ搭載モデルを拡充しました。REGZA LINKに対応したモデルも登場。

2008年～2009年

2008年春モデル: HD DVD-RWドライブを世界で初めて搭載したモデルが登場。デジタル放送の録画新ルール「ダビング10」やHD Recに対応しました。
2008年夏モデル: 「SpursEngine SE1000」を搭載したG50シリーズが登場。ハンドジェスチャリモコンを搭載。TVチューナーレスモデルとして「dynabook Qosmio」FXシリーズを新たに設定しました。
2008年秋冬モデル: F40とF50の下位モデルもモデルチェンジ。「Qosmio AVコントローラ」を搭載。
2009年春モデル: 「SpursEngine」を搭載するG50と基本性能を充実したF50の2シリーズに集約。
2009年夏モデル: 「SpursEngine」を改良。超解像技術「レゾリューションプラス」を搭載。「dynabook Qosmio」では32ビット版と64ビット版が選べるセレクタブルOSとなりました。
2009年秋冬モデル: G系列が6代目となり、Blu-ray Discドライブを搭載。グラフィック性能も向上しました。

2010年～2013年

2010年春モデル: CPUをintel Core i5-520Mプロセッサーに変更。GPUも強化。「dynabook Qosmio V65」が登場しました。
2010年夏モデル: 従来までの「Qosmio」が無くなり、「dynabook Qosmio」のみとなりました。東芝ノートPC25周年を記念し、一体型デスクトップモデルのDX/98Mを追加しました。
2010年秋冬モデル: ノートブックモデルは「dynabook Qosmio T560」と「dynabook Qosmio T750」に。液晶一体型デスクトップモデルは「dynabook Qosmio D710」がラインナップ。
2011年春モデル: ベーシックノートはT550に。ハイスタンダードノートT750は新加飾技術を採用しました。液晶一体型デスクトップモデルD710は上位モデルD711/T9Bが追加され、地上・BS・110度CSデジタルダブルチューナーを搭載。
2011年夏モデル: スタンダードAVノートのT500番台は第2世代に移行。ハイスタンダードAVノートのT700番台は地上・BS・110度CSデジタルダブルチューナーを搭載。3D対応モデルT800番台を新設しました。
2011年秋冬モデル: 液晶一体型デスクトップモデルが「dynabook REGZA PC」へ移行。AVノートの位置づけとなりました。スタンダードAVノートはクアッドコアCPUのCore i7-2670QM搭載モデルとお手軽なCeleron B800搭載モデルの2種類となりました。
2012年春モデル: ブルーレイディスクドライブがBDXLに対応しました。スタンダードAVノートはCeleron搭載モデルに集約。ハイスタンダードAVノートはHDD容量を増量しました。
2012年夏モデル: アルミの質感を生かした新ボディに刷新。CPUにCore i7-3610QMを搭載。音質と音場を修正する「SRS Premium Sound 3D」技術を採用しました。グラスレス3Dモデルは内蔵グラフィックスを「NVIDIA GeForce GT 640M」に性能を向上しました。
2012年秋冬モデル: グラスレス3Dモデルが廃止され、ハイスタンダードAVノートのT752シリーズのみとなりました。OSがWindows 8 64bitに刷新されました。
2013年春モデル: Core i7搭載モデルはHDDがハイブリッドHDDに。Celeron搭載モデルはCPUを強化。TV視聴・録画ソフトが「dynabook TV Center」となりました。
* 2013年夏モデル: Core i7搭載モデルのみとなり、デザインを一新しました。CPUは第4世代のCore i7-4700MQに強化。静電容量式タッチパネル付フルHD液晶となりました。

販売終了

2013年夏モデルを最後に、Qosmioシリーズは販売を終了しました。

まとめ

Qosmioは、東芝がAVノートPC市場で展開した革新的なブランドでした。高画質・高機能を追求し、常に最新技術を取り入れながら進化を遂げました。その歴史は、ノートパソコンの進化とエンターテイメント体験の向上に大きく貢献しました。Qosmioシリーズは、多くのユーザーに愛され、その名は今もなお、高品質なノートPCの代名詞として語り継がれています。

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