ExpressCard

ExpressCard（エクスプレスカード）は、ノートパソコン向けの小型カード型インターフェースであり、従来のPCカードに代わる拡張カード規格として2003年に策定されました。この規格は、IBM、インテル、テキサス・インスツルメンツ、デル、ヒューレット・パッカード、マイクロソフトなど、主要なIT企業が共同で策定に携わりました。

概要

ExpressCardは、PCカードの後継として、より高速なデータ転送と柔軟な拡張性を目指して開発されました。PCカードがデスクトップPCのISAバスを基盤としていたのに対し、ExpressCardはPCI ExpressバスとUSB 2.0を基に設計されています。これにより、バスの性能が大幅に向上し、PCカードで実現していた機能をすべてExpressCardで代替することが可能となりました。ただし、物理的な互換性はなく、PCカード用スロットにExpressCardを挿入することはできません。

接続インターフェースには、PCI Express x1とUSB 2.0のいずれかが使用されます。カードのサイズには、幅34mmのExpressCard/34と54mmのExpressCard/54の2種類があり、いずれも長さ75mm、厚さ5mmです。製品への搭載にあたっては、ExpressCard/34、またはExpressCard/34およびExpressCard/54の両方に対応していることが条件とされました。

各社のノートPCがPCI Express対応チップセットを採用するにつれて、ExpressCardの採用例も増加しました。2005年頃から、PCカードやCardBusからExpressCardへの移行が本格化し、特にコンシューマー向けノートPCでいち早く採用が進みました。一方で、法人向け製品ではCardBusの採用が長く続き、2010年頃までCardBusスロットを搭載した製品も存在していました。

初期の移行期には、大型のノートPCではPCカードとExpressCardの両スロットを併設する例や、本体とドッキングステーションでそれぞれ異なるスロットを搭載する製品も見られました。

しかし、2018年現在では、ExpressCardを搭載したノートPCはほとんど存在しません。その主な理由としては、2010年に規格策定団体であるPCMCIAが解散したこと、USB 3.0やThunderboltなどの利便性の高い規格に取って代わられたこと、Ultrabookのような小型薄型PCが主流となり、物理的なスペースが確保しにくくなったこと、そしてノートPCのコストダウンが進み、コネクタの実装自体が避けられるようになったことなどが挙げられます。

ピン配列

ExpressCardのピン配列は以下の通りです。

1 - 5ピン: USB 2.0端子
10 - 26ピン: PCI Express端子

通常、データ通信にはPCI Express端子が使用されます。

データ通信カード

ExpressCard型のデータ通信カードは、NTTドコモやイー・モバイルなどから発売されていました。以下に主な製品例を挙げます。

NTTドコモ向け

OP2502 HIGH-SPEED（未発売）
L-07A
F-06C（Xi対応）

イー・モバイル向け

D02OP（販売後に自主回収）
D03HW
D24HW

WILLCOM向け

WS008HA

au（KDDI・沖縄セルラー電話連合）向け

W06K
W07K
HID02（UQコミュニケーションズのMVNOによるモバイルWiMAXとのデュアル契約用端末、定額料金対応）
HID04（同上、従量制料金対応）

WILLCOM CORE 3G向け

HX007ZT

関連項目

拡張カード
PCI Express
PCカード

外部リンク

About ExpressCard Technology (USB-IF)
ExpressCard Technology from PCMCIA at the Wayback Machine (archive index)
allpinouts.org - PCI Express Card and PCI Express Mini Card Connector Pinout
* http://www.itproportal.com/2011/04/01/expresscard-format-be-discontinued/

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