RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語

『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』は、2010年に公開された日本の映画です。錦織良成監督による島根を舞台にした三部作の最終章として、人生の転機を迎えた男が故郷で新たな一歩を踏み出す姿を描いています。

あらすじ

主人公の筒井肇は、大手電機メーカーの経営企画室長として、東京で妻子と共に順風満帆な生活を送っていました。しかし、故郷の島根で母親が倒れたという知らせや、会社の同期の事故死をきっかけに、自身の人生を見つめ直すようになります。

故郷に帰った肇は、これまで家庭を顧みずに仕事一筋だった自分を反省し、子供の頃の夢であった「一畑電車の運転士になる」ことを決意します。会社を辞め、一畑電車に転職した肇は、同じくプロ野球選手になる夢を諦めた青年・宮田と共に、新たな人生を歩み始めます。

キャスト

筒井肇: 中井貴一
かつては大手電機メーカーのエリート社員でしたが、リストラを推進する立場になったことに疑問を感じ、故郷で電車の運転士になるという夢を叶えます。一度は責任を取って辞職しようとしますが、同僚や乗客の嘆願により免職を免れます。

筒井由紀子: 高島礼子
肇の妻で、東京で店を経営しています。すれ違いの日々が続いていましたが、肇の決意を受け入れ、遠距離夫婦として新たな関係を築くことを選びます。

筒井倖: 本仮屋ユイカ
肇の娘で、大学三年生。父の「やりたいようにすればいい」という言葉に、父の変化を感じます。

宮田大吾: 三浦貴大
肇の同僚の新人運転士で、元高校球児。怪我でプロの道を断念し、一畑電車に就職しました。当初は肇に反発しますが、彼の姿勢に感銘を受け、共に成長していきます。

筒井絹代: 奈良岡朋子
肇の母。彼女が倒れたことが、肇が故郷に帰るきっかけとなります。

大沢悟郎: 橋爪功
一畑電車の社長。肇の入社を後押しし、彼の才能を見抜きます。

石川伸生: 佐野史郎
一畑電車の運輸営業部長。当初は肇の入社に戸惑いますが、社長の判断を受け入れます。

森山亜紀子: 宮崎美子
絹代の介護士。肇が運転士になったことで、絹代が若返ったと語ります。

川平吉樹: 遠藤憲一
肇の会社の同期。リストラされた過去を持つが、肇を心配していました。

西田了: 中本賢
肇の同級生で漁師。肇のことを気にかけています。

福島昇: 甲本雅裕
一畑電車の運転士で、肇と宮田の指導係。

高橋晴男: 渡辺哲
一畑電車の車両課長。肇の娘の倖に親切に対応します。

薮内正行: 緒形幹太
一畑電車の運転士。

田窪俊和: 石井正則
一畑電車の指令室指令員。

長岡豊造: 笑福亭松之助
絹代の同級生。

スタッフ

監督: 錦織良成
脚本: 錦織良成、ブラジリィー・アン・山田、小林弘利
音楽: 吉村龍太
主題歌: 「ダンスのように抱き寄せたい」松任谷由実
製作総指揮: 阿部秀司

鉄道映画としてのこだわり

本作は、鉄道好きの阿部秀司が製作総指揮を務め、細部まで鉄道描写にこだわって製作されました。運転台などの通常は立ち入り禁止の場所での撮影許可を得るために3年近くを費やし、一畑電車をはじめ、沿線の自治体や団体からの全面的な協力を得てロケが行われました。特に、中井貴一と並ぶもう一人の「主役」とも言えるデハニ52・53は、お座敷列車からロングシートに改装され、撮影のために本線走行も行われました。運転シーンは、美術スタッフが作ったマスコンハンドルやブレーキハンドルを使い、巧妙な編集技術で再現されています。

主なロケ地・登場事物

ソニーシティー大崎: 主人公の勤務先として冒頭に登場
伊野灘駅: 主人公の実家の最寄り駅
雲州平田駅: 車庫やホームとして登場
一畑口駅: オープニングやラストシーンで使用
出雲大社前駅: 主人公が初めて運転した電車の切符を貰うシーンで使用
京王電鉄平山研修センター: 鉄道教習所のシーンで使用。
島根県立出雲高等学校: 主人公の母が入院していた病院として使用。

登場する電車

デハニ52・53
一畑電気鉄道2100系電車 (元京王5000系)
一畑電気鉄道3000系電車 (元南海21000系)
一畑電気鉄道5000系電車(元京王5000系)
京王7000系電車
JR東海・西日本新幹線N700系電車
JR西日本285系電車「サンライズ出雲」

興行成績・波及効果

全国201スクリーンで公開され、初登場5位を記録しました。また、ぴあ初日満足度ランキングでは2位になるなど、幅広い世代から好評を得ました。映画の舞台となった一畑電車の利用者数も増加し、地域活性化に貢献しました。KINOTAYO映画祭では最優秀賞を受賞し、ロケーションジャパン大賞では準グランプリを受賞しました。また、三浦貴大は、この作品で日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞しています。

DVD・Blu-ray

2010年10月14日にDVD・Blu-rayが同時発売され、豪華版には鉄道コレクションのデハニ52・53の2両セットなどが付属しました。また、通常版はDVDとBlu-rayが同一価格で発売されるという初の試みでもありました。

テレビ放送

2022年10月15日にはNHK BSプレミアムで放送されました。

書籍

2010年4月6日に小学館文庫からノベライズ版が発売されました。

関連項目

* 鉄娘な3姉妹：鉄道ファンを主題としたコミック。本作の公開に合わせ、一畑電車が取り扱われました。

まとめ

『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』は、人生の転機を迎えた男が、過去の自分と向き合い、新たな夢を追いかける感動的な物語です。美しい島根の風景や鉄道描写、実力派俳優たちの熱演など、見どころ満載の作品です。鉄道ファンだけでなく、全ての人におすすめできる作品です。

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