京王7000系電車

京王7000系電車は、1984年（昭和59年）から1996年（平成8年）にかけて190両が製造された京王電鉄の通勤形電車です。京王線系統では初のオールステンレス車体を採用し、各駅停車のサービス向上を目的として導入されました。

概要

当時の京王線では、優等列車に新型車両を投入し、捻出された車両を各駅停車に転用する方式が一般的でした。しかし、7000系が登場するまでに優等列車用車両の6000系への置き換えが完了したため、旧型車を直接置き換える方針となりました。

車体寸法は6000系とほぼ同一で、主要機器も6000系と共通化されています。これは、将来の長編成化や予備部品の削減を考慮したためです。また、7000系の製造期間は、特定都市鉄道整備促進特別措置法（特々法）に基づく輸送力増強期間と重なっており、製造の都度長編成化が行われました。

1986年からは8両編成の製造が開始され、5両編成で製造された編成も中間車を追加して6両または8両編成となりました。8両編成の一部は、後に中間車を追加して10両編成化されたほか、増結用の2両・4両編成も製造されました。1996年の製造終了時には、2両・4両・6両・10両編成が各5本、8両編成が10本の合計190両となりました。

車両概説

車体

20m両開き4扉のオールステンレス車体で、窓間に戸袋窓2枚と1枚下降窓2枚を備えるのが基本配置です。窓はサッシレスとなり、角に丸みを持たせることで、柔らかな印象を与えています。ステンレス車体で戸袋窓を備えるのは珍しく、登場当時は「20mの軽量ステンレス車では全国初」と紹介されました。車体には、京王電鉄のラインカラーである赤色の帯が巻かれています。

製造時期によって車体構造が異なり、初期に製造された車両は側面窓の上下にコルゲートがありましたが、後に製造された車両はビードプレス車体となりました。増結用中間車は、組み込まれる編成に合わせて車体構造が異なるため、コルゲート車体でも新しい車両が存在します。

先頭車は、中央に貫通扉が設置され、前面窓上に行先表示装置、種別表示装置、車号板、標識灯があります。前照灯と尾灯は一体化され、正面の赤帯下に配置されています。正面角部には、銀色に塗装されたFRP製カバーが取り付けられています。

内装

室内は、クリーム色の壁、白色の天井、レンガ色の座席モケットで構成されています。座席はキルティング加工が施され、1人ずつの占有区分が明確化されています。また、座席先端から250mmのところで床の色を変え、着席客の足位置を暗示する工夫が凝らされています。冷房吹き出し口を直線状とし、平天井を採用したことで、天井高さが6000系よりも約35mm高くなりました。

乗務員室

乗務員室は、基本的に6000系と同一で、両手操作のワンハンドルマスコンが採用されています。中央部に貫通路を備えていますが、製造時に編成間を貫通して使用することは想定されていなかったため、貫通路固定仕切り戸は設けられていません。

主要機器

2両1ユニット構成で、主制御装置は日立製作所製のHTR-20Bが搭載されています。主電動機は、直流複巻電動機で、出力150kWです。駆動装置は、京王電鉄の伝統であるWN駆動方式が採用されています。制動装置は、日本エヤーブレーキ製の全電気指令式電磁直通ブレーキ（HRD-1R）が採用されています。

台車は、6000系用を基本とする、車体直結式空気ばね式の東急車輛製造製TS-823（動力台車）とTS-824（付随台車）が採用されています。パンタグラフは、東洋電機製造製のPT-4201が搭載されています。補助電源装置は、製造時期によってブラシレス電動発電機（BL-MG）または静止形インバータ（SIV）が搭載されています。

改造工事

塗装変更

2002年10月には、全編成の帯色が赤色から京王レッドと京王ブルーに変更されました。

VVVF化工事

2003年から2012年にかけて、主制御装置をIGBT素子のVVVFインバータ制御に更新する工事が行われました。これにより、省エネルギー化が図られています。

その他

その他、転落防止幌の取り付け、ワンマン化改造、リニューアル工事などが行われています。

今後の予定

京王電鉄は、2026年度までに新型車両の導入を予定しており、7000系の置き換えが進む見込みです。また、分割編成を解消する方針も示されており、2両・4両・6両編成の廃車が予定されています。

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