RECCO

RECCO（レッコ）とは

RECCOは、雪崩で雪中に埋没した人を捜索するための遭難救助システムです。万引き防止システムと同様の原理で、特定の周波数の電波を利用して遭難者の位置を特定します。

作動原理

RECCOシステムは、915MHzと1834MHz前後の周波数帯の電波を使用します。登山者やスキーヤーは、RECCO反射器が縫い込まれたウェアや内蔵されたスキーブーツなどを着用します。雪崩に巻き込まれて埋没した場合、専用の探索装置から送信される915MHzの電波が反射器に照射されると、その2倍の約1834MHzの電波が反射されます。この反射波を探索装置の受信機が捉えることで、遭難者の位置を特定できます。915MHz帯の電波は雪への浸透性が高く、乾燥した雪であれば5m以上の深さまで届きます。反射器から返される1834MHz帯の電波は指向性が強く、方向探知に役立ちます。反射器の同調周波数にはある程度の許容値があり、915MHz前後の周波数帯であれば、その2倍の周波数を返します。

日本での運用

日本では、電波法の規制によりRECCOの使用が長らく認められていませんでしたが、2015年6月からシステム運用が実用化され、2016年3月2日に総務省・北海道総合通信局から実験試験局が受理されました。探索時に使用される915MHzから917MHz前後の周波数帯は、1.5W程度の送信出力のため、付近のプラチナバンドの携帯電話に影響を与える可能性があります。この周波数帯は欧米ではアマチュア無線に利用されていますが、日本国内で探索装置を使用するには「陸上特殊無線技士3級」以上の資格が必要です。

システムの構成

RECCOシステムは、以下の2つの要素で構成されます。

探索装置: 915MHzから917MHz前後の電波を送信し、反射器から返送される信号を受信します。
反射器: 重さ4g程度の金属箔とダイオードで構成されるRFタグです。スキーウェア、スキーブーツ、ヘルメットなどに装着され、探索装置からの電波を受けて約1834MHzの信号を送信します。

雪崩ビーコンとの違い

雪崩ビーコンは、送信モードで457kHzの電波を発信し、受信モードでは、携帯型装置自体が探索装置として機能します。一方、RECCOは反射器のみを携帯し、探索には専用の探索装置が必要です。

類似の装置

生存者の呼吸や拍動による微小な動きを、マイクロ波ドップラーレーダーで検出する電磁波人命探査装置も開発されています。

関連項目

雪崩ビーコン
電磁波人命探査装置
非常用位置指示無線標識装置
エアー・ツェルマット

外部リンク

公式ウェブサイト
ReccoRescueTechnology - YouTubeチャンネル

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