RIM-66 (ミサイル)

RIM-66 スタンダードミサイル

RIM-66 スタンダードは、アメリカ合衆国で開発された艦対空ミサイルであり、スタンダードミサイルファミリーの中射程型（MR）に分類されます。原型であるSM-1MRと、その発展型であるSM-2MRが存在します。

SM-1MR

開発経緯

SM-1MRは、先行して運用されていたターターミサイルの後継として開発されました。1950年代に登場したターター、テリア、タロスの3種類のミサイルは「3-T」として知られていましたが、リアクションタイムや信頼性の問題から、より高性能な後継システムが求められるようになりました。当初はスーパー・タロスやスーパー・テリア（後のタイフォン）といった計画が進められましたが、技術的・コスト的な問題から1963年に中止されました。

しかし、ミサイル標準化のコンセプトは引き継がれ、中射程型（MR）と長射程型（ER）をファミリー化する形でスタンダードミサイルの開発が決定されました。1963年10月には計画が正式に公表され、1964年12月にはジェネラル・ダイナミクス社との間で契約が締結されました。

SM-1MRは、改良型ターター（RIM-24C）をベースとして開発され、長射程型のSM-1ERはテリアHT-3（RIM-2F）をベースとして開発されました。これにより、部品の共通化が進められ、開発の効率化が図られました。

ブロックIV (RIM-66A)

最初の量産モデルであるブロックIV（RIM-66A）は、1968年から配備が開始されました。このモデルは、RIM-24Cの設計を多く踏襲しており、SARH誘導装置やMk.51弾頭、Mk.27 mod.4 DTRMなどが引き継がれました。ただし、飛行制御部は大きく変更され、適応制御に対応したMk 1オートパイロットが導入されたほか、動翼の駆動方式も電動式に変更されました。

ブロックV (RIM-66B)

1969年から1974年にかけて生産されたブロックV（RIM-66B）では、誘導装置、弾頭部、推進装置といった主要な構成部品が新開発品に更新されました。誘導装置はコニカルスキャンからシーケンシャルプレーンスキャン（SPS）へ、弾頭部はMk.51からMk.90へ、推進装置はMk.27 DTRMからMk.56 mod.1 DTRMへと変更されました。

ブロックVI (RIM-66E)

1986年から1996年にかけて生産されたブロックVI（RIM-66E）では、主要な構成部品がさらに更新され、一部はSM-2ブロックIと同じものが採用されました。誘導装置は電子防護性に優れたモノパルス・レーダーを用いたSARH誘導装置が導入され、弾頭部には新開発の近接信管が導入されました。

SSMモデル (RGM-66)

SM-1MRブロックVを基に開発された艦対艦ミサイル版がRGM-66です。パッシブ・レーダー・ホーミング（PRH）誘導を採用しており、RGM-66DとRGM-66Eの2種類が存在しました。RGM-66Dは西ドイツ海軍向けに開発されたもので、韓国海軍のミサイル艇などにも搭載されました。

SM-2MR

開発経緯

タイフォン計画の失敗後、1963年より先進水上ミサイル・システム（ASMS）計画が開始されました。この計画に基づいて、SM-1MRに改良を加えたSM-2MRの開発が進められることになりました。1969年にはASMS計画がイージス計画と改称され、SM-2MRもイージスシステム向けのミサイルとして開発が進められました。

ブロックI (RIM-66C/D)

SM-2MRの最初のモデルであるブロックIは、1979年に就役しました。イージスシステム向けのモデルはRIM-66C、ターター・システム向けのモデルはRIM-66Dとして制式化されました。誘導装置が大きく変更され、慣性航法に対応するとともに、無線通信による指令誘導を受けることができるようになりました。

ブロックII (RIM-66G/H/J)

SM-2MR本来の機能を実現した最初のモデルがブロックIIであり、1984年に就役しました。高高度を高速で飛来する対艦ミサイルの迎撃に主眼をおいており、推進装置が強化され、射程が延伸されました。

ブロックIII (RIM-66K/L/M)

ブロックIIIでは、低高度目標に対する迎撃能力の向上が図られました。信管が更新されたほか、弾頭がより強力なものに変更されました。また、SARH誘導に加えて赤外線誘導も可能なブロックIIIBも開発されました。

SM-2MRはその後も改良が続けられ、SM-6の技術を導入したブロックIIICやブロックIIICUといったモデルが登場しています。

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