RIM-67 (ミサイル)

RIM-67 スタンダード艦対空ミサイル

RIM-67 スタンダードは、アメリカ合衆国のジェネラル・ダイナミクス社が開発した艦対空ミサイルであり、スタンダードミサイルの長射程型（ER）にあたります。特にVLS対応の長射程型として開発されたRIM-67Eは、技術的な関連性が乏しく、後にRIM-156Aという新しい番号が付与されました。

開発の経緯

SM-1MRは、先行するテリアミサイルの代替として開発されました。テリア、ターター、タロスの3種類のミサイルは「3-T」として知られていましたが、リアクションタイムや信頼性の問題から、スーパー・タロスおよびスーパー・テリア（後のタイフォン）の開発が開始されました。タイフォン計画では、ミサイルを標準化し、長射程が必要な場合にはブースターを追加するコンセプトが採用されました。

しかし、タイフォン計画は技術的・コスト的な問題に直面し、1963年に中止されました。その後、ミサイル標準化のコンセプトを基に、中射程型（MR）と長射程型（ER）をファミリー化するスタンダードミサイルが開発されました。1963年10月には計画が正式に公表され、1964年12月にはジェネラル・ダイナミクス社との間で契約が締結されました。

SM-1MRは改良型ターターを、SM-1ERはテリアHT-3をベースとして開発されました。1967年3月、ジェネラル・ダイナミクス社は新型ミサイルの本格的な生産契約を獲得しました。

SM-1ER (RIM-67A)

SM-1ERは、テリアHT-3をベースに開発され、飛行制御部に大きな変更が加えられました。アダプティブ制御に対応したMk 1オートパイロットの導入により、ミサイル推力や外部環境の変化に適応できるようになりました。また、動翼の駆動方式も電気油圧式から電動式に変更され、ウォームアップ時間が大幅に短縮され、信頼性も向上しました。

SM-1ERは、単段式ロケットであるSM-1MRにブースターを装着した二段式ロケットとして設計されました。サステナーとしてはMk 30 mod 1、ブースターとしてはMk 12が用いられ、ブロックVIのミサイルでは、サステナーがMk 30 mod 2に更新されました。

SM-2ER

タイフォン計画の失敗後、先進水上ミサイル・システム（ASMS）の計画が開始され、イージスシステムへと発展しました。同システムでは、SM-1MRに改良を加えたSM-2MR艦対空ミサイルが採用されることになりました。また、既存のターターやテリア搭載艦にも搭載できるよう互換性を確保することも提言され、テリア搭載艦向けにSM-2ERが開発されました。

SM-1からSM-2への変更点として、誘導装置が慣性航法（INS）に対応し、無線通信による指令誘導を受けて目標の機動に対応できるようになりました。イージス艦ではAN/SPY-1|AN_SPY-1多機能レーダーを用いたSバンドのリンクを使用しますが、テリア艦にはそのような設備がないため、AN/SPG-55火器管制レーダーを使ってXバンドでのアップリンクを送信し、Sバンドでのダウンリンクを受けるためのAN/SYR-1受信装置が搭載されました。

推進装置は、SM-2ER ブロックIではサステナーがMk 30 mod 2、ブースターがMk 12のままでした。その後、ブロックIIではサステナーがMk 30 mod 3（後期生産型ではmod 4）に更新され、ブースターもMk 12の推進薬を再充填したMk 70に更新されました。SM-2MRブロックIIIで導入されたMk.125弾頭や、ブロックIIIBで導入されたSARHと赤外線画像誘導（IIR）のデュアル・モード誘導装置もSM-2ERに導入されました。RIM-67 SM-2ERは1982年より運用が開始されましたが、アメリカ海軍では1995年までにテリア武器システムの運用を終了しました。

ブロックIV (RIM-156A)

従来のSM-2ERは、発射前のフィンの装着に手作業が必要だったため、自動化されたイージス艦では運用できませんでした。そのため、SM-2ERの運用はテリア搭載艦に限られ、イージス艦では中射程型のSM-2MRのみが使用されてきました。しかし、イージスシステムの発達や共同交戦能力（CEC）の開発が進展すると、イージス艦向けにも長射程型のSM-2が求められるようになりました。

Mk.41 VLSであれば大型のミサイルも収容できるようになったため、VLSに収容できる長射程型のSM-2艦対空ミサイルとしてSM-2ER ブロックIVが開発されました。1987年、海軍はレイセオン社に対してブロックIVの開発を発注しました。これはSM-2MRブロックIIIAをもとにブースターを装着して射程を延伸したものであり、ドーサルフィンや誘導装置にも改良が加えられました。Mk 72ブースターはVLSでの運用を前提とし、従来のMk 70ブースターよりも短く、推力偏向に対応した4つのノズルを備えています。

ブロックIVは当初RIM-67Eと称されていましたが、従来のSM-1/2ERからの変更点が多岐に渡ったため、RIM-156Aという新しい番号で知られるようになりました。1990年より試験が開始され、1995年5月にはSM-2ブロックIVの低率初期生産（LRIP）が承認されましたが、改良型のブロックIVA（RIM-156B）の開発を優先するため、100発が生産されたのみで打ち切られました。

ブロックIVAは赤外線誘導に対応し、指向性を高めたMk.133弾頭を採用しており、弾道ミサイルとの低高度での交戦を担う海軍地域ミサイル防衛（NATBMD）でも用いられる予定でしたが、2001年にNATBMD計画とともに開発が中止されました。その後、ブロックIVの一部は対艦弾道ミサイル対策として改修され艦隊配備されましたが、SM-6（RIM-174）の登場とともに代替され、段階的に廃止されています。

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