RS-28 (ミサイル)

RS-28 サルマト：ロシアの新たな脅威

RS-28、通称サルマトは、ロシア連邦が開発した新型大陸間弾道ミサイル（ICBM）です。北大西洋条約機構（NATO）からは、その破壊力を示す「サタン2」というコードネームが付けられています。旧式のR-36の後継として位置づけられ、その圧倒的な攻撃能力から世界的な注目を集めています。

開発と発表

RS-28の存在は2016年、イタルタス通信の報道によって初めて明らかになりました。1万1000キロメートルを超える射程と、10トンに達する弾頭重量という驚異的な性能が伝えられ、世界に衝撃を与えました。

しかし、本格的に注目を集めるようになったのは、2018年3月1日、ウラジーミル・プーチン大統領の年次教書演説においてでした。プーチン大統領は、アメリカ合衆国のミサイル防衛システムをも突破できる新型兵器としてRS-28を紹介。従来の北極圏ルートに加え、南極圏を経由した長距離飛行によるアメリカ大陸への攻撃能力を強調し、米ロ関係の緊張を高めました。

同年の3月30日には、ロシア国防省がプレセツク宇宙基地で行われたRS-28の発射実験映像を公開。その存在は現実のものとして世界に知れ渡ることになりました。

性能と脅威

RS-28は、10～16個の核弾頭を搭載可能とされています。これはMIRV（多弾頭搭載型）技術を用いたもので、複数の目標を同時に攻撃できる能力を有します。さらに、マッハ20という極超音速で飛行し、途中で分裂して弾頭を降下させることで、ミサイル防衛（MD）システムの迎撃を回避する能力を持つとされています。

軍事ニュース専門メディア「週刊ズベズダ」の軍事専門家アレクセイ・レオンコフ氏は、RS-28について「10発で米国の全人口を殺害する威力がある」との試算結果を発表。その破壊力は、世界中の懸念を招くものでした。

配備と実験

2022年4月20日、ロシア国防省はプレセツク宇宙基地からカムチャッカ半島までの発射実験を成功裏に終えたと発表しました。これは、ロシアのウクライナ侵攻に対する対ロシア経済制裁下での発表であり、プーチン大統領は同ミサイルがロシア製部品だけで製造されていることを強調しました。同年6月21日には、プーチン大統領は同年内の実戦配備を表明しました。配備場所は東シベリアのクラスノヤルスク地方にあるウジュルと発表され、既存のミサイル基地が利用される見込みです。

2023年2月には、バイデン大統領のウクライナ訪問に合わせて発射実験が予告されましたが、失敗あるいは中止されたと報じられています。しかし、2023年9月1日には、サルマト戦略ミサイルシステムが戦闘任務に就いたと発表されました。2024年9月には、複数回の発射実験が失敗したことが報じられ、その中にはプレセツク宇宙基地にクレーターを生じさせる規模の爆発を伴うものもあったとされています。

今後の展開

RS-28サルマトの配備は、米ロ関係のみならず、国際社会全体に大きな影響を与えています。その圧倒的な攻撃能力は、新たな軍拡競争を引き起こす可能性があり、世界平和への脅威となりかねません。今後、RS-28に関する技術開発や、国際社会の対応が注目されます。その信頼性やさらなる改良、そして抑止力としての役割、あるいは軍拡競争への影響など、様々な角度から詳細な分析と検証が必要となるでしょう。

関連項目

ロシア戦略ロケット軍
戦略核兵器

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