RepRap プロジェクト

RepRapプロジェクトとは

RepRap（Replicating Rapid Prototyperの略）プロジェクトは、自身を構成する部品の多くを製造できる3Dプリンターの開発を目指す、オープンソースのプロジェクトです。主な特徴として、以下の点が挙げられます。

自己複製能力: RepRapは、自身の部品を3Dプリントすることで、自己複製できる能力を持つことを目標としています。
オープンソース: 設計は全て公開され、自由ソフトウェアライセンスの下で配布されています。これにより、誰でも自由に設計を改良したり、派生モデルを作成したりできます。
低コスト: 高価な産業用機器を使わずに、低コストで3Dプリンターを製造できるように設計されています。
Fused Filament Fabrication (FFF): 溶融樹脂積層法（FFF）を多用しており、商標である「fused deposition modeling」を避けるためにこの用語を使用しています。

歴史

RepRapプロジェクトは、2005年にイギリスのバース大学の機械工学講師であるAdrian Bowyer博士によって開始されました。

2005年3月23日: RepRapのブログが開始されました。
2005年夏: バース大学の初期の工学・物理科学研究評議会から開発予算が提供されました。
2012年夏/秋: 小規模な企業が派生モデルの販売を開始し、組み立てキットや完成品が市場に出回るようになりました。これにより、より低コストな3Dプリンターの普及が進みました。特に、デルタ型設計の成功は特筆すべき成果です。また、最新のOpenBeamのワイヤ（DyneemaやSpectraといった釣り糸）がベルトの代替として導入されました。

ハードウェア

RepRapプリンターは、オープンソースプロジェクトとして常に改良が重ねられており、多数の派生モデルが存在します。しかし、基本的な構成は共通しており、以下の要素で構成されています。

熱溶解樹脂吐出機: 熱で溶かした樹脂をノズルから吐出して積層する機構です。初期のモデルでは直流整流子電動機を使用していましたが、現在はステッピングモーターを使用することで、より精密な制御が可能になっています。
コンピュータ制御式直交座標系XYZ装置: 3つの軸（X, Y, Z）でヘッドを移動させる機構です。X,Y軸はステッピングモーターとベルトで、Z軸はネジで駆動します。
構造: 金属棒と3Dプリントされた樹脂製部品を組み合わせた構造です。
電子機器: オープンソースのArduinoプラットフォームをベースにした電子機器が使用されています。ステッピングモーターの駆動用基板や、吐出装置の制御用基板も用意されています。

主要な改訂

これまでに、いくつかの主要なモデルが開発されてきました。

Darwin (2007年3月): 最初のRepRapモデルで、XYガントリーが移動し、Z軸のプリントベッドを備えています。Z軸は四隅のネジとタイミングベルトで連動していました。
Mendel (2009年10月): Darwinの摺動部が玉軸受に変更され、摩擦が減少し精度が向上しました。プリントベッドはY軸方向に移動し、吐出装置はX軸方向に水平移動します。Z軸のネジが4本から減少し、よりコンパクトになりました。

その後、Prusa Mendel, Huxleyといったモデルが開発されました。これらのモデルは、生物学者にちなんで命名されています。

メンバー

RepRapプロジェクトには、以下のようなコアチームメンバーが関わっています。

Sebastien Bailard
Adrian Bowyer博士
マイケル・S・ハート
Dr. Forrest Higgs
Rhys Jones
James Low
Simon McAuliffe
Vik Olliver
Ed Sells
Zach Smith
Erik de Bruijn
Josef Průša

また、プロジェクトを支援するスポンサーも存在します。

目標

RepRapプロジェクトの主な目標は、以下の通りです。

真の自己増殖機の開発
* 人間との共存

国内の関連団体

日本国内では、「RepRap Community Japan」という団体が同様の活動を行っています。

まとめ

RepRapプロジェクトは、自己複製能力を持つ3Dプリンターの開発を通じて、製造業の民主化を目指す、革新的な取り組みです。オープンソースの理念に基づき、多くの人々の知識と技術を結集し、発展を続けています。

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