Ruina 廃都の物語

『Ruina 廃都の物語』は、枯草章吉氏によって制作されたフリーウェアのコンピュータRPGです。RPGツクール2000を用いて開発され、2008年12月に最初のバージョンが公開されました。その後、何度かのバージョンアップを経て、最新版はver. 1.21となっています。

ゲーム概要

ゲームの舞台は、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界の一地方。プレイヤーは、主人公が住む町を拠点に、その地下に広がる広大な遺跡を探索しながら物語を進めていきます。このゲームの大きな特徴は、ダンジョン探索のシステムです。ゲームブックやTRPGに影響を受けた独自のシステムを採用しており、テキストベースでの描写が重視されています。ダンジョン内には様々な謎解きも用意されており、これらの仕掛けを解かなければ先へ進めない場面も多く存在します。

本作は自由度の高さも特徴の一つです。主人公には複数の生い立ちが設定されており、ゲーム全体を通して、一つの問題に対して複数の解決策が提示されます。時には、仲間になるはずのキャラクターを殺害してしまうことも可能で、それによって後味の悪い展開を迎えることもあります。

BGMは、初期バージョンではRTP素材を使用していましたが、バージョンアップに伴い、フリー素材のBGMに差し替えられました。敵グラフィックも一部RTP素材が使用されていますが、多くは作者によるオリジナルです。特に、テキスト表示の際に表示される一枚絵は、児童文学の挿絵を意識した独特のタッチで描かれています。

作者は、本作の制作以前に『大河物語』という独自のTRPGを考案しており、本作の世界設定はその『大河世界』を基にしています。

2009年には、ふりーむ!ゲームコンテストで最優秀賞を受賞。また、窓の杜大賞2009の候補にもノミネートされました。2022年には、KADOKAWAグループの天聞角川により、完全監修のリメイク版の制作が発表され、Steamおよび複数のプラットフォームでのリリースが予定されています。

ゲームシステム

町

ゲームの拠点となる町では、ダンジョン探索の準備を整えることができます。町には商店や仲間が待機する酒場などがあります。パーティー編成は1日に1度しか行えず、また、商店の商品は1日の仕入れ量が決まっているため、買いすぎると品切れになります。回復アイテムの大量購入によるゴリ押し攻略は難しくなっています。

移動・探索

移動は、マップ上にある探索可能なポイントを選択することで行います。ポイントを選択すると、その場所での出来事や情景がテキストで描写され、探索可能な領域が広がります。ポイントには、経験値や財宝を入手できるものや、戦闘が必要なもの、特定の道具やスキルが必要なものなど、様々な種類があります。戦闘で得られる経験値は少なく、探索で得られる経験値がキャラクターのレベルアップに大きく影響します。

称号・SP

主人公は、戦士や魔術師などの称号を得ることで能力を成長させたり、スキルを習得したりできます。称号は下級10種、上級10種の計20種が存在し、称号の証とSPを消費することで獲得できます。SPは、チェックポイントクリアやTTEXPなどで獲得できます。

TTEXP

ダンジョン出発から町に帰還するまでの経験値の総量です。規定値まで達するとボーナスとしてSPが得られます。このボーナスには上限回数があり、規定回数を超えるとTTEXPをいくら溜めてもボーナスは得られません。

ランダムダンジョン

周回プレイ時に特定の場所から行けるダンジョンで、通常ダンジョンとは異なるランダムなマップが生成されます。ここでのみ入手できるアイテムも存在します。ランダムダンジョンでは、経験値を直接得られるポイントは少なく、最深部にいるボスを倒すことでSPや経験値を得られます。

ストーリー

物語の舞台は、ネス公国の辺境にある町ホルム。主人公は、ある日、森の中で見つけた洞窟へと足を踏み入れます。洞窟の奥で、奇妙な構造物を発見しますが、骸骨の戦士に襲撃されます。なんとか撃退したものの、その夜、町は怪物の襲撃を受けます。主人公は怪鳥を倒しますが、怪鳥は不吉な予言を残します。その後、ホルムは作物の不作や奇病の流行に見舞われ、ネス公国は事態を重く見て、洞窟の奥にある遺跡が原因と特定し、異変を解決した者に莫大な報酬を約束します。こうして、ホルムには多くの冒険者が集まり、遺跡を巡る物語が始まります。

世界設定

地名

ネス公国: かつて存在した大シーウァ王国が分裂して成立した国家の一つ。ゲームの舞台となる国です。
ホルムの町: ネス公国南西部に位置する、大河の要衝となる町です。
レンデュームの郷: ホルム北西にある集落。忍者のような技能を持つ部族が暮らしています。
西シーウァ王国: 大シーウァ王国分裂後の後継国家の一つ。過去にネス公国と戦争をしました。
ユールフレール島: 大河神殿の総本山。ホルムの遺跡について予言を残しています。

用語

アークフィア: 大河の女神。慈悲と慈愛の神として信仰されています。
アーガデウム: 古代に栄えた王国。アークフィアの慈悲により知恵を授けられた人間が築いたとされますが、悪に染まり滅亡したとされています。
夜種: 異形の存在。夜の神ミルドラの眷属とされ、古代魔術師が奴隷や兵士として創造した人工生命体です。

キャラクター

パーティーメンバー

主人公: 性別と生い立ちを自由に選択できます。生い立ちによって初期能力や物語展開が変化します。台詞は一切ありません。

パリス: 主人公の悪友で兄貴分。盗賊としてもそれなりの腕前を持つ。
ネル: 雑貨屋の娘。魔法使いを目指している。
ラバン: 隻腕の老剣士。探索について様々な助言をしてくれる。
キレハ: 遊牧民の女性。弓と魔法を扱う。
シーフォン: 魔術師の少年。古代魔術を求めて遺跡探索に乗り出す。
テレージャ: 西シーウァ王国の巫女。考古学に造詣が深い。
アルソン: ネス公国の貴族。正義感に燃える。
竜人（エンダ）: 竜の王の生まれ変わり。人間の少女の姿をしている。
フラン: ホルム領主に仕えるメイド。密偵の技術を身に付けている。
メロダーク: 無口で陰気な傭兵。探索スキルを豊富に持つ。

町の人々

チュナ: パリスの妹。怪鳥の魔物に襲われ眠ったまま。
オハラ: 酒場「ひばり亭」の女主人。町の情報通。
カムール: ホルムの領主。過去に子供を失う悲劇を経験している。
アダ: 大河神殿の老巫女。主人公やエンダの世話をする。
ゼペック: カムールに仕える執事。レンデューム一族の出身。
ピンガー: 交易商会の主。パリスを利用して暗躍する。
デネロス: 町外れの庵に住む老賢者。鍵の書を所有している。

その他

テオル: ネス公国の公子。遺跡に強い関心を持っている。
ギュスタール: フランの弟。レンデュームの里の若長。
バルスムス: 大河神殿軍の将軍。遺跡の災厄を危惧している。
パーシャ: 西シーウァ王国の姫将軍。
ウリュウ: 女剣士。ピンガーに雇われている。
金色猫（ピート）: 遺跡内に出没する謎の商人。
ユリア: アルケア帝国の巫女。世界の真実を語る。
夜種王: 奇妙なコスプレで登場する謎の人物。
* タイタス: 古代アルケア帝国の皇帝。物語のキーパーソン。

評価

本作は、ふりーむ!ゲームコンテストで、「実際に冒険している感覚になる演出」や「プレイヤーの好みに合わせてプレイできる自由さ」などが評価されました。窓の杜の「週末ゲーム」では、「細やかな情景描写と行動の自由度の高さ」が特徴として挙げられ、「謎解きや罠の回避などの要素」も評価されています。また、読み物としての完成度が高く、「神話や伝承をうまく類型化することで、説得力のある内容になっている」と評されています。ツクールwebの「名作図書館」では、「高い自由度が売りの作品」であり、「仲間にできるキャラが個性豊か」であると評されています。Crowdrive Gamesでは、「細部まで練り込まれた設定が魅力」で、「圧倒的な文章量と重厚な世界観が特徴」であると評されています。

小説版

嬉野秋彦氏による小説版が、KADOKAWAから全2巻で発売されています。挿絵は弘司氏が担当しています。

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