RPGツクール2000

RPGツクール2000』(アールピージーツクールにせん)は、株式会社アスキーから発売されたRPG制作ソフトです。廉価版として『RPGツクール2000 VALUE!』および『RPGツクール2000 VALUE!+』もリリースされ、多くのユーザーに利用されました。

概要



画面解像度は前作『RPGツクール95』の640480(VGA)から320240(QVGA)に縮小されました。また、ゲーム実行中はマウス操作が不可となりました。素材に関しては、画像1枚につき最大256色のパレットしか扱えませんが、同時発色数はハイカラー(65536色)以上となったため、異なるパレットを持つ画像を自由に組み合わせることが可能になりました。複数の『ツクール2000』を同時に開くことはできませんが、コピーした内容はゲームディスクを閉じても保持されるため、「戦闘アニメ」(魔法陣エフェクト)などを他の作品に流用できます。

さらに、変数の概念が追加されたことで、従来から搭載されていた「スイッチ」機能と組み合わせることで、複雑な分岐処理を容易に作成できるようになりました。スイッチと変数の数はそれぞれ最大5000個まで拡張可能です。戦闘イベントを用いることで、戦闘中の会話や敵のHP調整、敵のフェードアウトなどを自由に設定できるようになり、表現の幅が大幅に広がりました。

変数コマンドなどの搭載によってイベント表現の幅が広がり、従来のイベントでは実現できなかった複雑なシステムもイベントだけで構築できるようになりました。これにより、既存の戦闘シーンを使わず、全てイベントコマンドで組み上げた「自作戦闘」や、アクション要素を含むゲームを作成するユーザーも現れました。後の作品と比較するとデータベース上の制約などがあったものの、操作性、機能の豊富さ、そして手軽さから高い人気を誇りました。発売から10年以上経った現在でも多くのユーザーに愛用されており、Web上では対応素材の配布も継続されています。

2001年3月には『RPGツクール2000ハンドブック』(ISBN 978-4-7577-0172-4)が刊行され、サンプルゲームとして『いけいけダンジョン』『アクションRPG』『悪魔の塔』が付属していました。これらの素材はVALUE!+版にも収録されましたが、サンプルゲームは付属していません。

初回出荷版には、特典として複数の声優による「ボイスデータCD」が同梱されていました。Value!版はWindows Vistaおよび7に対応、Value!+版はWindows 8にも対応しています。ツクールWebでは「30日間無料体験版」が公開されています。

ランタイムパッケージ



RPGツクール2000』は、PC版RPGツクールで初めて「ランタイムパッケージ」(RTP)が採用された作品です。RTPは本体に含まれており、ユーザーが改めて導入する必要はありませんが、本作がインストールされていない環境で作品をプレイするには、RTPを導入する必要があります。標準的な素材がRTPに含まれたことで、作品のファイルサイズは大幅に軽減され、Web上での配布が容易になりました。また、作品のインストーラにRTPを含めることも可能です。

ゲームアツマールへの対応



2021年5月3日、ツクール作品投稿プラットフォームであるゲームアツマールに、RPGツクール2003と共に対応しました。これはeasyRPGを介した対応となります。

RPGツクール2000 VALUE!



株式会社エンターブレインから発売された廉価版です。基本的な仕様は『RPGツクール2000』と同様ですが、いくつかの点が追加・変更されています。インターネットコンテストパークの受賞作など32本の作品集が収録されています。開発はエンターブレインに移管されており、従来の『RPGツクール2000』とは、以下の相違点があります。

BGMとしてMP3ファイルが扱えるようになった。
ADPCMで圧縮されたWAVファイルが使用可能になった。
ピクチャーの同時表示数が20枚から50枚に増加した。
Shiftキーが扱えるようになった。
敵キャラクターのHPが99999まで設定できるようになった。
データベースの各項目の最大値が増加した。
バトルイベントに設定可能な項目が増加した。
戦闘アニメはピクチャーよりも上に表示されるようになった。
Windows 95は動作保証対象外となった。

従来の『RPGツクール2000』でも、無償のアップデータ(V1.50以降)を適用することで、『VALUE!』と同等の機能が追加されます。

RPGツクール2000 VALUE!+



2012年9月27日株式会社エンターブレインから発売された再廉価版です。ユーザー登録がオンライン形式に変更され、前述の「ハンドブック」の素材が追加収録されています。『RPGツクールXP』の再廉価版『RPGツクールVX』の廉価版+和素材セットと同時発売されました。

Windows 8の一般販売に先駆けて同OSに対応しました。機能変更については特に発表されていません。2012年10月現在で販売されているのはこのバージョンのみです。Windows XP以前のOSは動作保証対象外となりました。Ver1.52のアップデータも用意されていますが、アップデートしなくてもWindows 7・8で正常に動作します。

サンプルゲーム



『花嫁の冠』以外のサンプルゲームでは、ゲームフォルダ内の素材を自由に使用できます。

花嫁の冠


主人公カインはコープ村に住む青年。親友のマイケルはフローラと恋仲になりますが、村の掟で恋愛が禁じられており、カインはマイケルのために掟を破る旅に出ます。『RPGツクールVX』発売日にツクールシリーズの利用規約が変更され、『花嫁の冠』の音楽・音声、画像は転用できなくなりました。

シナリオ:新木伸
キャラクターデザイン:佐嶋真実
BGM:Xacs石川
キャスト
マリオン:浅川悠
キサラ:今井由香
ユリア:冬馬由美
アネット:手塚ちはる
ロッカ:田村ゆかり
リリー:高野直子
魔王:塩沢兼人
女神:菅原祥子
暗黒騎士:相田さやか
暗黒魔道士:山田美穂
ネコ娘:釘宮理恵
マイケル:上田祐司
フローラ:堀江由衣
イセリナ:徳永愛
フリント:鈴村健一
ゴリガン:長嶝高士
ドラゴン:飯塚昭三

シナリオを担当した新木伸により、前日譚『薪割りスローライフをはじめますか?[はい/いいえ]』、および登場人物の子孫の活躍を描いた『GEΦグッドイーター』が執筆されています。

Abyss-Diver#0


製作者は『KNight-Blade』や『Bite a Cat!』の作者である重歳謙治(水車蹴り)。西暦が使われなくなった遠い未来の地球が舞台。500億人を超える人間が住む地下居住コロニー「アビス」を怪物やロボットから奪還するのがアビスダイバーの仕事。主人公ヴェルナーは、目の不自由な妹のためにアビスに行ったまま戻らない友人アレックスを探すため、アビスダイバーとなり地下世界で戦います。

作者のサイトでは、後日談や本編を別の視点で描いた小説を読むことができます。また、設定資料やパロディ漫画も公開されています。エンディングでは次回作『Abyss-Diver#1』のタイトルが表示されますが、これは『RPGツクールVX』で製作されました。

海賊


主人公クレスは、海賊になるため村から旅立ちます。船を手に入れ、様々な事件を解決しながら世界を巡り悪の根源を断つ物語です。オーソドックスなRPGとしてボリュームはありますが、マップが広く、ストーリーも明確な指標に乏しいため、地図を作りながらプレイする必要があるでしょう。エンカウント率は高めです。エンディングはシンプルですが、AVIファイルを使ったムービーが用意されています。

クイーン・クー


ヒロインのクーハルサ・イオンテは、実はサーリアという王女。城の外で出会った人々と話し合い、モンスターを召喚して戦ったり、ギルド間で貿易をするサンプルゲームです。ほぼ全て自作システムで構成されており、RPGというよりもシミュレーションゲームに近い作品です。

III


製作者は『囚人へのペル・エム・フル』の八百谷真。危険思想犯として投獄された主人公カレス・アクセリーは、幽体離脱ができる「ゴースト」という能力を身につけますが、同じ能力を持つ者が他にもいました。ゲーム自体は短編ですが、ゴーストという独特のシステムが特徴です。AVIファイルによるムービーも存在します。

蠢く闇の砦


異世界から来た主人公ユーリとヒロインのアーテルは、はぐれた仲間を探すため屋敷を探索します。ゲーム画面はRPG風ですが、実際はアドベンチャーゲームに近い作品で、主人公の行動によって3つのエンディングに分岐します。

修道院


主人公アーガル・ストラッガードは、子供たちが消えた修道院で、剣と盾を手に得体の知れない者たちと戦います。ジャンルはアクションゲームに近く、ミニゲームも用意されています。一部ミニゲームにバグがあったため、修正パッチが公開されました。

著名作



盗人講座(2001年)
Nepheshel(2002年)
夜明けの口笛吹き(2003年
イストワール(2003年
Seraphic Blue(2004年)
シルフェイド幻想譚(2005年)
スーパーコロンバイン大虐殺RPG!(2005年)
ドラえもん のび太のBIOHAZARD(2005年)
Ruina 廃都の物語(2008年)
タオルケットをもう一度(2009年)
ふしぎの城のヘレン(2011年)
Ib(2012年
大海原と大海原(2013年)

脚注



ツクールweb
* RPGツクール2000 VALUE!+ 製品紹介ページ

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