S-210ロケット

S-210ロケットの概要

S-210ロケットは、東京大学宇宙航空研究所（現：JAXA宇宙科学研究所）が開発し、日産自動車の航空宇宙事業部が製造した固体燃料を用いた単段式観測ロケットです。このロケットは、安価な観測技術の確立を目指すIX計画の一環として開発され、高度100km以上の性能を持つ電離層観測用のロケットとして位置付けられています。S-210ロケットは1956年から1984年にかけて、さまざまなバリエーションを含め合計49機が打ち上げられました。

バリエーション

PT-210

PT-210はS-210ロケットのプロトタイプで、1966年の春に初号機が打ち上げられた後、1967年の夏に2号機が続けて打ち上げられました。このロケットは、機体にトラブルが発生したものの、1号機ではその改良が行われました。PTは“Performance Test”（性能試験）の略であり、初期の技術確認を目的とした設計でした。

S-210

S-210本体は、直径210mmの汎用小型観測ロケットとして設計されており、1969年から1984年までの間に鹿児島宇宙空間観測所から合計13機が打ち上げられました。基本的な設計は非常に優れたもので、以下の主要諸元を持っています：

• - 全長：5,200mm
• - 直径：210mm
• - 全備重量：260kg
• - 到達高度：110km
• - ペイロード：40kg
• - 燃焼時間：17秒

S-210JA

S-210JAは、南極での使用を目的としたバージョンで、国立極地研究所が昭和基地から打ち上げました。31機が打ち上げられ、その仕様変更によって南極の特殊な環境に適応しました。主要諸元は次の通りです：

• - 全長：5,270mm
• - 直径：210mm
• - 全備重量：260kg
• - 到達高度：130km
• - ペイロード：20kg

TT-210

TT-210は、N-Iロケットの運用初期におけるレーダー追尾機能の確認を目的に開発されたロケットです。1975年から1976年にかけて宇宙開発事業団（NASDA）によって3機が打ち上げられました。TT-210も次世代のより高機能なTT-500ロケットに置き換えられたため、運用は終了しました。TT-210の主要諸元は以下の通りです：

• - 全長：5,300mm
• - 直径：210mm
• - 全備質量：260kg
• - 到達高度：114km

関連項目

このロケットは、観測ロケットの中でも非常に重要な位置を占めており、いくつかの関連プロジェクトや他のロケットシステムとも結びついています。関連項目には、IX計画をはじめとして、MT-135ロケット、S-160ロケット、S-310ロケット、S-520ロケット、SS-520ロケット、Sロケット、宇宙開発事業団、TT-500ロケット、TT-500Aロケットなどが挙げられます。

参考リンク

• - S-210観測ロケット (ISAS/JAXA)
• - 南極におけるロケット飛翔実験報告 - 国立極地研究所
• - ロケット打ち上げ実績（NASDA）
• - 明星ミュージアム 日本の宇宙開発と明星電気の歴史 1970年代

このように、S-210ロケットは日本の宇宙開発の歴史における重要な一歩として位置づけられています。

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