S-160ロケット

S-160ロケットの概要

S-160ロケットは、東京大学宇宙航空研究所（現在のJAXA宇宙科学研究本部）によって開発された観測用の単段式固体燃料ロケットです。その開発の背景には、MT-135ロケットを基にした設計があり、大型化を進めることでプロトタイプであるPT-160を経て、最終的にS-160が誕生しました。S-160は、宇宙観測や様々な実験に利用され、多くのバリエーションが存在します。

バリエーション

1. PT-160
S-160のプロトタイプであり、MT-135を基にした大型高性能化ロケットです。1964年7月28日に初打ち上げが行われました。
- 全長: 3,700mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 113kg
- 到達高度: 60km
- ペイロード: 4.5kg

2. ST-160
2段構成のM-4Sロケットの予備試験機で、スピン安定特性の試験に使用されました。上段がダミーでスピンモータによってスピンがかけられた1号機と、装薬されている2号機が存在します。1965年7月21日に打ち上げられました。
- 全長: 3,890mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 113kg（1号機）、115kg（2号機）
- ペイロード: 9.2kg（1号機）、8.9kg（2号機）

3. BT-160
1段構成のM-4Sロケットの予備試験機で、補助ブースタの試験を目的として使用されました。1965年8月25日に2機が打ち上げられました。
- 全長: 3,291mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 78kg（1号機）、124kg（2号機）
- ペイロード: --（1号機）、8.9kg（2号機）

4. DS-160
スピン停止試験を目的に、搭載したデスピンモータによる試験を行いました。1965年11月1日に打ち上げられました。
- 全長: 3,783mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 116kg
- ペイロード: 16.5kg

5. IT-160
1966年から1969年にかけて打ち上げられ、イオン密度の測定試験が行われたロケットです。
- 全長: 4,099mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 111.9kg
- 到達高度: 68km
- ペイロード: 7.2kg

6. MT-160
大気電気の測定が行われたロケットで、1967年1月24日に打ち上げられました。

7. ST-160F
M-4Sロケットの予備試験機で、空力安定特性の試験に使用されました。1968年9月10日に打ち上げられました。
- 全長: 3,915mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 109kg
- ペイロード: 6.0kg

8. SO-160
推力中断装置の機能試験に用いられ、1968年9月12日に打ち上げられました。
- 全長: 3,910mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 106kg
- ペイロード: 1.0kg

9. S-160
標準的な観測ロケットで、1968年から1972年にかけて4機が打ち上げられました。
- 全長: 4,100mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 120kg
- 到達高度: 82km
- ペイロード: 17kg

10. S-160JA
南極仕様に改良されたロケットで、昭和基地から打ち上げられ、オーロラの解明に寄与しました。
- 全長: 3,890mm
- 直径: 160mm
- 全備重量: 113kg
- 到達高度: 90km/88km
- ペイロード: 5kg/5.5kg

関連項目

• - IX計画
• - 観測ロケット
• - MT-135ロケット
• - S-210ロケット
• - S-310ロケット
• - S-520ロケット
• - SS-520ロケット
• - Sロケット

S-160ロケットは、日本の宇宙開発の歴史において重要な役割を果たしており、様々な観測活動に貢献してきました。

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