S.VII (航空機)

SPAD S.VIIの概要

SPAD S.VII（またはSPAD VII、S.VII、SPAD 7）は、フランスのスパッド社によって開発された戦闘機で、第一次世界大戦やその後の戦闘で広く使用されました。これは、スパッド社による初の成功した本格的軍用機であり、主流の複葉機構を持ちながら、斬新なデザインと性能が評価されました。機体の構造は全て木材でできており、外装には麻布が使用され、エンジン周辺の一部にはアルミニウムが採用されています。

構造と設計

S.VIIは、左右がつながった水平尾翼を持ち、矢羽根形の尾翼が特徴的です。その設計は、モノコック構造で知られるルイ・ベシュローによるもので、この特徴は他の機体にも見られます。また、主翼には片翼に2対の支柱が設けられ、見た目は大型ですが、実際には同時期の他の戦闘機に比べてコンパクトなサイズです。

初飛行と性能

1916年4月にS.VIIは初飛行に成功し、その後、エンジンの性能と信頼性のおかげで、驚異的な旋回速度を発揮しました。これにより、すぐに量産が決定され、最初の量産機は9月には配備され、年内に500機以上が製造されました。初期の量産機は、150馬力のイスパノ・スイザ8Aaエンジンを搭載していましたが、その後のバージョンでは出力が180馬力の8Acに強化され、主翼も若干拡大されました。スパッド社ではこのモデルの生産を6000機以上行い、派生型であるS.XIIも生産されました。

戦術の革命

当初はニューポール17と比べて重くて鈍重だと評価されていたS.VIIでしたが、その高速性を利用した一撃離脱戦法が確立され、空戦のスタイルを一変させました。最高速度は時速200kmに達し、急降下時には350kmから400kmに達することも可能でした。この特性により、ドイツのアルバトロスD.IIIはS.VIIに追い立てられ、構造的な脆弱性から空中分解する事例が続出しました。

運用国と戦後の影響

第一次世界大戦中、S.VIIはフランス、イギリス、ベルギー、イタリア、アメリカ、ロシアなど多くの国で運用されました。また、捕獲した機体はドイツやオーストリア・ハンガリーでも使用されました。1917年のロシア革命後、ロシア帝国での配備は少なくなりましたが、白軍への支援としてイギリスやフランスによって南ロシア軍でも運用されました。ポーランド・ウクライナ戦争では、ポーランドとウクライナの両方で使用され、戦後も複数の新興国において戦闘機として活躍しました。

戦後、S.VIIは訓練用機として改修され、その運用は1928年まで続きました。また、スペックの向上を目指して改良型が開発され、1923年には最終発展型としてSPAD 62とSPAD 72が初飛行しました。この機体は数多くのエースパイロットに愛用され、日本人エースパイロット滋野清武が使用したWAKATORI号もその一例です。

設定されたスペック

• - 初飛行: 1916年
• - 翼幅: 7.82 m
• - 全長: 6.08 m
• - 全高: 2.20 m
• - 翼面積: 17.85 m²
• - 空虚重量: 500 kg
• - 通常離陸重量: 705 kg
• - 発動機: イスパノ・スイザ 8Ab/8Ac ×1
• - 出力: 180 馬力
• - 最高速度: 212 km/h
• - 巡航速度: 187 km/h
• - 飛行継続時間: 1時間30分
• - 飛行上限高度: 5550 m
• - 乗員数: 1 名
• - 武装: ヴィッカース製 7.7 mm機銃 ×1

SPAD S.VIIは、当時の航空戦に多大な影響を与え、多くの伝説的なエースパイロットと共に空を駆け抜けた偉大な機体と言えるでしょう。

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