SA 321 (航空機)

SA 321 シュペルフルロン（SA 321 Super Frelon）

SA 321シュペルフルロンは、フランスのシュド・アビアシオン社が開発した大型ヘリコプターで、フランス語で「クマバチ」を意味します。この機体は、旧シュド・エスト（SNCASE）が設計した試作モデルSE.3200 フルロンを基に、1962年12月7日に初飛行を果たしました。西ヨーロッパで製造された中では最も大きな量産ヘリコプターであり、主に輸送と哨戒任務に使用されます。

機体特徴

シュペルフルロンの機体は3基のエンジンを搭載し、着水を可能にするための水密構造を採用しています。胴体の後部にはランプドアが設置されており、輸送型では兵員を27名または最大5,000kgの貨物を搭載できます。哨戒型では、前方にレーダーが装備され、対潜魚雷やエグゾセ対艦ミサイルを搭載する能力も持っています。

民間市場では、シュペルフルロンはわずか2機しか販売されず、フランス空軍は一時的に要人輸送用として使用しましたが、主にフランス海軍がその運用を担っていました。この機体は、イスラエルや南アフリカ、イラクなどにも輸出され、実戦でも用いられました。

中国での生産

シュペルフルロンは1977年に中国に導入され、その後リバースエンジニアリングを経て1980年代末からはZ-8として国産化されました。以降、Z-8は中国の主力大型ヘリコプターとして進化を続けており、改良版のAC313も発表されています。AC313は民間向けに新技術を取り入れた改良型です。

派生型

シュペルフルロンには多様な派生型が存在します。

• - SA 321F: 民間向け輸送型
• - SA 321G: フランス向け哨戒型
• - SA 321Ga: フランス向け輸送型
• - SA 321GM: リビア向け哨戒型
• - SA 321H: イラク向け哨戒型
• - SA 321J: 民間向け貨物輸送型
• - Z-8: 中国の生産型
• - AC313: 民間用改良型

軍事導入

シュペルフルロンおよびその派生型は、フランス軍や中国人民解放軍をはじめ、多数の国に導入されています。特にフランス海軍が主要な運用国となり、中国では国産化されたZ-8が多様な用途で使用されています。また、イラクやイスラエルでも実戦での活用が報告されています。

性能

このヘリコプターは全長23メートル、全幅5メートル、高さ6.66メートルで、主回転翼の直径は18.9メートルです。最大離陸重量は13トンに達し、航続距離はおよそ1020キロメートルです。武装としては、20mm機関砲や短魚雷、対艦ミサイルを搭載でき、運用面でも優れた性能を誇ります。

登場作品

シュペルフルロンは、「WORLD WAR Z」や「エスケイプ・フロム・アマゾン」といった映画にも登場し、特に中国製のZ-8が多くのシーンで使用されています。

シュペルフルロンは、そのユニークな設計と多用途性から、軍や民間で広く利用され、今なお世界中で注目される存在です。

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