SAMPSON

SAMPSONレーダーの概要

SAMPSON（サンプソン）は、BAEシステムズが開発した革新的な多機能3次元レーダーシステムです。このレーダーは、イギリス海軍の1045型レーダーとして制式採用されており、特に45型駆逐艦の中心的なセンサーとして活躍しています。

歴史的背景

1970年代からイギリス国防省研究開発評価局（DERA、現在のQinetiq）では、アクティブ・フェーズド・アレイ（AESA）型レーダーの基礎研究が行われてきました。この研究の中で、1977年には実験機としてMESAR（Multi-function Electronically Scanned Adaptive Radar）が開発されました。MESARは1,060個の送受信機を持つ回転式AESAアンテナを装備しており、動作周波数はSバンドで、ピーク出力は約2キロワット、ビーム幅は送信時3.1度、受信時3.4度という性能を誇りました。

SAMPSONの技術的特長

SAMPSONでは、アンテナが2面設置されており、その背中合わせの配置によって、さらなる走査率の向上を実現しています。レーダーの送受信機にはヒ化ガリウム（GaAs）素子が採用され、2,560個の放射素子が670基のT/Rモジュールにまとめられています。この高度な設計により、レーダーは非常に高い精度と効率で動作します。

特に注目すべきは、SAMPSONが小型の目標をも高精度で探知できる能力です。例えば、レーダー反射断面積が0.008平方メートルの目標（鳩を想定）に対しては、105 km（57海里）の探知距離を実現しています。この探知能力は、現代の海戦における重要な戦力となっています。

複数の目標追尾

SAMPSONは500から1,000個の追尾目標を処理でき、PAAMS（Principal Anti Air Missile System）システムを使用する際には、アスター艦対空ミサイルと連携して、最大で12個の目標に対して交戦することができます。このことは、防空任務におけるその威力を示すものであり、様々なシナリオに対応可能な柔軟性を備えています。

電子防護能力

また、SAMPSONは電子防護に関しても優れた設計を持っています。MESARの開発段階から長期にわたり研究が行われ、10方向以上からの電子攻撃に対しても耐性を持つ波形を形成することに成功しています。この特性は、敵の妨害からレーダーを守り、常に安定した性能を提供するために重要な要素です。

まとめ

SAMPSONレーダーは、BAEシステムズによる先端技術を駆使したレーダーシステムであり、イギリス海軍の最前線である45型駆逐艦において、不可欠な武器として広く認知されています。高性能な追尾能力と、電子的防護機能を備えたこのレーダーは、海上の安全を守るために重要な役割を果たしています。

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