PAAMS

PAAMS (Principal Anti Air Missile System)

PAAMS（Principal Anti Air Missile System）は、イギリス、フランス、イタリアの3国が共同開発した艦隊防空システムであり、現代の海上防空能力を高めるために設計されています。このシステムは、複数の目標に同時に対応できる能力を持ち、特に多機能レーダーと先進的なミサイル技術が特徴です。

来歴

1980年代にさかのぼると、NATO加盟国の海軍はNFR-90構想の下、共同でフリゲート艦の開発に取り組んでいました。初期の計画では中距離防空ミサイルシステムを搭載する予定でしたが、アメリカのセミアクティブ・レーダー・ホーミング（SARH）に対して、イタリアとフランスはアクティブ・レーダー・ホーミング（ARH）を選好し、1987年にはアスター艦対空ミサイルシステムの開発に合意しました。しかし、その後の各国の要求の違いから最終的にNFR-90計画は頓挫しました。

イギリスとフランスはそれぞれ独自に防空艦の開発を続けましたが、1990年には両国の計画が合併し、1993年にはイタリアも加わってホライズン計画が始まりました。このプロジェクトでは、アスターミサイルが共通装備として東京都され、フランスとイタリアが開発したFSAFを基本としてPAAMSの開発が進んでいきました。1999年、イギリスはホライズン計画から離脱しましたが、PAAMSの開発には残留し、合計20億ドルの開発契約が締結されました。

構成

PAAMSは、フランスからのエリア・ミサイル防御の要求と、イタリアの早期警戒レーダーの追加要求、さらにはイギリスの機動部隊防空のニーズが組み合わさって形作られています。これらの要素はSAMP/Nという計画を通じて統合されましたが、最終的にPAAMSは各国で異なる構成要素を持つことになりました。特に、多機能レーダーの選定が難航した結果、フランスとイタリア、イギリスの各国で異なるレーダーが使用されています。

艦対空ミサイルと発射装置

PAAMSでは、アスター15とアスター30という2種類のミサイルが使用されています。アスター15は個艦防空用に、アスター30は広域防空用に設計されており、両者は中間航程では艦上レーダーからの指令誘導を受けつつ、終末航程ではアクティブ・レーダー・ホーミングによる誘導を行います。これらのミサイルはシルヴァーVLS発射機から発射されます。

多機能レーダー

PAAMSで使用される多機能レーダーには2つのバージョンがあります。フランスとイタリアが運用するPAAMS (E)はEMPARレーダーを用い、Sバンドで動作します。一方、イギリスが運用するPAAMS (S)はSAMPSONレーダーを使用し、動作周波数も異なります。このように、各国が異なるレーダーを採用した結果、PAAMSは機能性に優れつつも、統一したインターフェースを通じて互換性を保っています。

実戦実績

最近の実施例として、2024年1月にはイギリスの護衛艦「ダイヤモンド」が無人航空機による攻撃に対し、シー・ヴァイパー対空ミサイルを発射し7機を撃墜しました。この成功事例はPAAMSの防空能力の一端を示すものです。

PAAMSシステムは、フランスのフォルバン級駆逐艦やイタリアのカヴール軽空母、イギリスの45型駆逐艦に搭載されています。これらの国々は、PAAMSを通じて精度の高い防空能力を維持し、未来の maritime security に貢献しています。

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