SAORI ON STAGE

SAORI ON STAGE

『SAORI ON STAGE』 は、南沙織が1977年12月5日にCBSソニーよりリリースした、通算2枚目のライブアルバムです。LP帯には「ポップ&メロウ、シンシアの新しい世界」というコピーが添えられ、当時の南沙織の新たな一面を捉えた作品として位置づけられました。

このアルバムに収められているのは、1977年9月6日に東京芝郵便貯金ホールで行われた南沙織のコンサート「Hello!Cynthia '77」の模様を収録した実況録音です。特に注目すべき点は、収録楽曲が洋楽のカバーソングを中心に構成されていることです。当時の日本のアイドルとしては珍しく、幅広いジャンルの洋楽に挑戦しており、南沙織の歌唱力と表現力を示す内容となっています。

また、この「オン・ステージ」というタイトルは、同時期に活躍した女性アイドルのライブアルバムに共通して見られるものでした。「新三人娘」として知られる同期生の天地真理がリリースした『天地真理オン・ステージ』（1974年12月10日）や、山口百恵の『MOMOE ON STAGE』（1976年10月21日）など、同レーベルに所属するアイドルたちがライブ盤をリリースする際のシリーズ的なタイトルとして使用されていました。

収録曲

アルバムには、コンサートのオープニングを飾る「Overture」に始まり、多彩な洋楽カバーと南沙織のオリジナル曲が収録されています。多くの楽曲のアレンジは同一人物によるものと思われますが、具体的な編曲者名はLPには明記されていません。

洋楽カバーの例としては、ABBAのヒット曲「ダンシング・クイーン（Dancing Queen）」、レオ・セイヤーの「恋の魔法使い（You Make Me Feel Like Dancing）」、シュープリームスの名曲「ストップ! イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ（Stop! In The Name Of Love）」などが収録されています。また、ジャニス・イアンの楽曲を集めた「Janis Ian Medley」や、ジャクソン5の代表曲「帰ってほしいの（I Want You Back）」、レオン・ラッセルの「A Song For You」、バリー・マニロウが歌ってヒットした「歌の贈りもの（I Write The Songs）」なども聴くことができます。

オリジナル曲としては、「街角のラブソング」に加え、南沙織のこれまでのヒット曲をメドレー形式で披露した「SAORI HIT MEDLEY」が収録されています。メドレーには、「17才」「哀愁のページ」「色づく街」「早春の港」「人恋しくて」といった代表曲が盛り込まれており、これらの楽曲の間にマック・デイヴィスの「I Believe In Music」が挟み込まれるというユニークな構成になっています。

CD化の経緯と現在の入手状況

このアルバムは長らくLPレコードのみのリリースでした。全曲の完全なCD化に先駆け、2000年6月7日に発売された南沙織のデビュー30周年記念CD-BOX『CYNTHIA ANTHOLOGY』 に、アルバムから「街角のラブソング」と「SAORI HIT MEDLEY」がデジタルリマスタリング音源として収録されました。

そして、LPでの発売からおよそ30年ぶりのこととなる2005年、ソニーミュージックが運営するインターネット通販サイト「Sony Music Shop」の復刻盤シリーズ「オーダーメイドファクトリー」の一環として、ついにアルバム全体が初めてCD化されました。このCDは、一定数以上の予約が集まった場合に生産される受注生産形式であったため、残念ながら現在は入手が困難な状況となっています。

なお、『SAORI ON STAGE』のCD化と同時期に、1977年8月21日に発売された17枚目のオリジナルアルバム『Hello!Cynthia』 もCD化が実現しています。オリジナルアルバムの方は、その後2006年6月14日発売の35周年記念CD-BOX『Cynthia Premium』 にて紙ジャケット仕様でも再リリースされています。

洋楽カバーを中心とした選曲は、当時の南沙織の意欲的な姿勢を示すものであり、ライブならではの臨場感とともに楽しむことができる貴重な一枚と言えるでしょう。

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