新三人娘

新三人娘：1970年代を彩った3人の歌姫

1971年、日本歌謡界に彗星のごとく現れた3人の女性歌手、小柳ルミ子、南沙織、天地真理。彼女たちは、デビュー時期が近かったことから「新三人娘」と呼ばれ、大きな人気を博しました。しかし、この呼称は2000年代以降に、それ以前の「三人娘」と区別するために便宜的に用いられたものであり、当時彼女たちが呼ばれていたのは単に「三人娘」あるいは「三代目三人娘」でした。中には、麻丘めぐみ、山口いづみ、葉山ユリの3人を「新三人娘」と呼ぶメディアもあったほどです。

新三人娘のメンバー：個性あふれる3人の歌声

それぞれ個性豊かな3人の歌手について、簡単に見ていきましょう。

小柳ルミ子

愛称は「ルミちゃん」。キャッチフレーズは「みんなの恋人」。宝塚音楽学校首席卒業という経歴を持つ彼女は、NHK連続テレビ小説『虹』で女優デビューした後、1971年4月、「わたしの城下町」で歌手デビュー。その清楚なルックスと叙情的な歌声は、当時流行していた「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンにもマッチし、大ヒットを記録しました。オリコンシングルチャートで12週連続1位を獲得するなど、数々の記録を樹立しました。以降も、「お祭りの夜」「瀬戸の花嫁」など数々のヒット曲を世に送り出し、日本を代表する女性歌手として活躍しました。

南沙織

愛称は「シンシア」。キャッチフレーズは「南の島からきたシンシア」。沖縄出身の南沙織は、1971年6月、「17才」で歌手デビュー。透明感のある歌声とエキゾチックなルックスで、多くの若者たちの心を掴みました。オリコンチャート2位を獲得した「17才」をはじめ、「潮風のメロディ」「ともだち」など、同世代の共感を呼ぶ楽曲が次々とヒット。彼女のデビューは、アイドル歌手という存在のあり方に大きな影響を与えました。写真家の篠山紀信氏との結婚も話題となりました。

天地真理

愛称は「まりちゃん」「白雪姫」。キャッチフレーズは「あなたの心の隣にいるソニーの白雪姫」。TBS系テレビドラマ『時間ですよ』への出演がきっかけとなり、1971年10月、「水色の恋」で歌手デビュー。愛らしい笑顔と親しみやすいキャラクターで、国民的な人気を博しました。「ちいさな恋」「ひとりじゃないの」など、数々のヒット曲を輩出し、オリコンチャートでシングル5作、アルバム5作で1位を獲得する記録を残しました。様々なグッズが発売され、その人気は社会現象と言えるほどでした。

「三人娘」という呼称と、その後の活躍

美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみの「三人娘」、中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりの「スパーク3人娘」に続く、「三人娘」としてマスコミに取り上げられるようになった彼女たち。3人が揃って活躍した1972年から1974年には、「三人娘」あるいは「三代目三人娘」と呼ばれていました。1972年12月24日には日本武道館で合同コンサート「三人娘 夢のクリスマスプレゼント」を開催。その人気は絶大でした。

3人の存在は、後の女性アイドル像の礎を築いたと言われています。彼女たちのデビュー以降、麻丘めぐみ、アグネス・チャン、浅田美代子、キャンディーズ、桜田淳子、山口百恵など、これまでにないタイプの女性アイドルが次々と登場しました。南沙織のプロデューサーを務めた酒井政利氏は、自著の中で「南沙織がいなかったら、後の郷ひろみや山口百恵は生まれなかったかもしれない」と語っています。

新三人娘の特徴：競争と協力

先代の「三人娘」たちとは異なり、3人は映画に揃って出演することはほとんどありませんでした。しかし、ヒットチャートで1位、2位を競い合うライバルでありながらも、雑誌の取材やジョイントコンサート、音楽番組などでの共演を通して、互いに切磋琢磨していました。

酒井政利氏は、彼女たちの個性について「日本情緒を備えた小柳ルミ子」「南国情緒を備えた南沙織」「天から地へ舞い降りたような天地真理」と分析しています。2011年には、デビュー40周年を記念して、3人の楽曲を集めたベストアルバム『GOLDEN☆BEST 新三人娘 〜天地真理・小柳ルミ子・南沙織〜』が発売されました。

数々のエピソード：紅白歌合戦、新人賞、そして絆

小柳と南は、1971年の日本歌謡大賞と日本レコード大賞で新人賞を受賞（小柳はレコード大賞で最優秀新人賞）。天地は翌年、日本レコード大賞で最優秀大衆賞を受賞しました。また、3人はNHK紅白歌合戦にも複数回出場し、1971年から1973年にかけては、紅組トップバッターを務めました。

誕生日が同じ7月2日だった小柳と南は、『夜のヒットスタジオ』などで一緒に誕生日を祝うこともありました。南の番組卒業時には、小柳とともに涙ながらに「マイ・ウェイ」を歌唱しました。

かつて同じ事務所に所属していた小柳と天地、同じレコード会社に所属していた南と天地など、それぞれの関係性も興味深いものです。2000年代以降も、特別番組などで共演し、アイドル時代の思い出を語り合うなど、彼女たちの絆は今も続いています。

2005年以降：それぞれの現在

小柳ルミ子は現在も芸能活動を続け、テレビ出演やコラム連載などを精力的に行っています。南沙織と天地真理は、芸能活動をセーブしていますが、定期的にベストアルバムが発売されたり、インタビューに応じたりと、その存在感を示し続けています。

新三人娘は、1970年代前半の音楽シーンにおいて、大きな足跡を残しました。彼女たちの歌声と輝きは、今も多くの人の心に響き続けています。

もう一度検索