SEE THROUGH

アルバム『SEE THROUGH』について

『SEE THROUGH』（しー・するー）は、1984年11月21日にリリースされたラッツ&スターの2枚目のオリジナルアルバムです。シャネルズ時代を含めると通算7枚目の作品となります。元々はLPやカセットテープ、CDなど、さまざまな形態で販売され、規格品番はLPが28・3H-154、CTが28・6H-128、CDが32・8H-26です。

本アルバムは、キーボード担当の山崎廣明とベース担当の高橋進がグループから脱退した後、残された8人のメンバーで初めて作り上げた作品である点が重要です。その結果、このアルバムではこれまでのドゥーワップにとらわれず、より力強いロック色が強調されており、さらに幅広い音楽的表現がなされています。

音楽プロデュースは後藤次利が手がけ、彼のアレンジによって、全体のサウンドクオリティが向上しました。また、アルバムからは田代マサシがバリトンボーカルからテナーボーカルへのクレジット変更があり、リードボーカルをファルセットボイスで歌うスタイルが新たに加わっています。これにより、アルバムの印象は一層独自のものとなりました。

作詞に関しては、売野雅勇が長らく彼らに提供してきた作品を麻生麗ニ名義から、今回は売野雅勇名義にて参加しています。これにより、楽曲の内容や雰囲気にも新しい風が吹き込まれました。

収録曲の特徴

本アルバムには多様な楽曲が収められています。まずはオープニングナンバーの「夢のディスコティック」や「乙女座の二人」、さらには「Just Loving Woman」や「サマーナイト・トレイン」といった軽快なロックナンバーが続きます。特に、「サマーナイト・トレイン」はシングル候補として注目されましたが、後に1996年のベストアルバムでは少し異なる歌詞で収録されています。
「グラマーGuy」という楽曲は、彼らのシングルのアルバムバージョンであり、日本初のスクラッチやラップを取り入れた意欲的なものでした。ただし、アルバムバージョンではラップ部分が省略されています。

そのほか、楽曲「唇にナイフ」や「フィルムシティ物語」なども収録されており、いずれも多彩な音楽スタイルが楽しめます。「Lifeシアター」と「You Can Win」では、数人のメンバーがリードボーカルを担当し、コーラスワークが印象的です。これにより、楽曲ごとの個性が際立っており、聴き手を飽きさせない工夫がされています。

このようにして、『SEE THROUGH』はラッツ&スターにおける重要な作品として位置づけられており、1995年にはCD選書として復刻されるも、現在は廃盤となっています。彼らの音楽の進化を感じさせるこのアルバムは、今でも多くのリスナーに支持されています。

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