STS-116

STS-116：ディスカバリー号による国際宇宙ステーション組み立てミッション

STS-116は、2006年12月10日から23日にかけて行われた、スペースシャトル・ディスカバリー号によるミッションです。このミッションの主要な目的は、国際宇宙ステーション（ISS）へのP5トラスの輸送と設置、ISSの主電源システムの切り替え、そして長期滞在クルーの交代でした。

ミッションの目的

P5トラスの輸送と設置: ISSの構造を拡張するための重要な要素であるP5トラスをISSへ運び、設置すること。
電力系統の切り替え: STS-115で設置されたP3/P4太陽電池アレイへの電力供給を可能にするため、ISSの電力系統を切り替えること。
長期滞在クルーの交代: 第14次長期滞在クルーのスニータ・ウィリアムズと、STS-121でISSに滞在していたトーマス・ライターを交代させること。

搭乗員

STS-116には、以下の7名の宇宙飛行士が搭乗しました。

マーク・ポランスキー（船長、NASA）
ウィリアム・オーフェリン（操縦士、NASA）
ロバート・カービーム（ミッションスペシャリスト、NASA）
ジョアン・ヒギンボサム（ミッションスペシャリスト、NASA）
ニコラス・パトリック（ミッションスペシャリスト、NASA）
クリスター・フューゲルサング（ミッションスペシャリスト、ESA、スウェーデン）
スニータ・ウィリアムズ（ISSフライトエンジニア、NASA、打ち上げ時）

トーマス・ライター（ISSフライトエンジニア、ESA、ドイツ、帰還時）

クリスター・フューゲルサングは、スウェーデン初の宇宙飛行士として、このミッションで宇宙へ飛び立ちました。また、ヨーロッパの宇宙飛行士が同時に宇宙飛行を行う珍しい機会となりました。

ミッションのハイライト

ISSへのP5トラスの輸送と設置
第14次長期滞在クルーのスニータ・ウィリアムズのISSへの輸送、トーマス・ライターの地球への帰還
クリスター・フューゲルサングのスウェーデン初の宇宙飛行士としての飛行
ISSの電気系統のP3/P4太陽電池アレイへの切り替え
P6ソーラーアレイの一部の折りたたみ
SPHERES実験で使用するテストベッドの輸送

ペイロード

主要なペイロードはP5トラスで、その他に与圧貨物運搬用のスペースハブモジュールが搭載されました。また、ズヴェズダのデブリ保護パネル、海軍研究所のANDE技術試験衛星、3つのキューブサットも搭載され、コロンビア号の事故以来初めてとなる衛星放出が行われました。

ミッションの背景

当初、打ち上げは2006年12月14日に予定されていましたが、後に12月7日に前倒しされました。コロンビア号の事故以降、NASAはシャトルの打ち上げを日中に限っていましたが、外部燃料タンクの設計変更と耐熱パネルの点検手順の確立により、この規制が緩和されました。シャトルのコンピューターが2007年1月1日を2006年の366日目と認識する可能性がありましたが、ソフトウェアの改修により問題は解決されました。

ミッションの経過

当初12月8日に予定されていた打ち上げは天候不良のため延期され、12月10日01:47（UTC）に打ち上げられました。12月11日22:12（UTC）に、ディスカバリー号はISSとドッキングしました。P6トラスの太陽電池アレイの収納に手間取り、船外活動が1回追加されたため、ミッションは1日延長されました。悪天候のため帰還が1周回延長された後、12月23日午前7時32分（日本時間）にケネディ宇宙センターに着陸しました。

事故対策プラン

STS-116ミッションには、万が一の事態に備えて、救出ミッション（STS-317）が用意されていました。これは、ディスカバリー号が回復不能な損傷を受けた場合に、搭乗員がISSに避難し、救出を待つためのものでした。

ミッション・パラメーター

軌道傾斜角: 51.6°
公転周期: 1:31'36"

まとめ

STS-116は、ISSの拡張と運用において重要な役割を果たしたミッションであり、国際協力の象徴とも言えるでしょう。また、スウェーデン初の宇宙飛行士の誕生や、様々な科学実験の実施など、多くの成果をもたらしました。

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