STS-28

STS-28：コロンビアによる国防総省ミッション

STS-28は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が行った30回目のスペースシャトルミッションであり、コロンビアにとっては8回目の飛行でした。1989年8月8日に打ち上げられたこのミッションは、国防総省のために行われた4回目のミッションという特殊な背景を持っています。

コロンビアは地球を81周、210万マイルを飛行し、8月13日にエドワーズ空軍基地に着陸しました。この飛行は、チャレンジャー号爆発事故後、約3年半ぶりに行われました。

ミッションの概要

STS-28の任務の詳細は機密扱いですが、ペイロードはSDS-2通信衛星の初号機であったと考えられています。また、飛行距離と周回回数から、ミッションの高度は220kmから380kmの間であったと推測されています。

乗組員

船長：ブリュースター・ショウ (3)
操縦手：リチャード・リチャーズ (1)
ミッションスペシャリスト1：ジェームズ・アダムソン (1)
ミッションスペシャリスト2：デビッド・リーストマ (2)
* ミッションスペシャリスト3：マーク・ブラウン (1)

飛行の詳細

1989年8月8日午前8時37分(EDT)にケネディ宇宙センター第39発射施設Bから打ち上げられたコロンビアは、2機の衛星USA-40とUSA-41を放出しました。初期の報告では、主要なペイロードは改良型のKH-11写真偵察衛星であると考えられていましたが、後の報告やアマチュア衛星による観測から、USA-40は第2世代の衛星データシステム(SDS)中継であったと推測されています。これらの衛星はLEASAT衛星と同じ設計で、同様に展開されたと考えられています。

このミッションでは、放射線が人体に与える影響を調査する実験も行われました。その一環として、人体の頭蓋骨が宇宙に初めて持ち込まれ、宇宙飛行中の放射線が頭蓋骨を透過する様子が調べられました。

飛行中には、姿勢制御システムのスラスタ停止やヒーター故障が発生しました。飛行後の分析では、大気圏再突入中に熱防護システムが異常加熱していたことが判明し、突き出した溝の充填物が原因である可能性が指摘されました。

熱防護システムの改良とSILTS

STS-28では、コロンビアの熱防護システムがアップグレードされ、重量と転回時間の削減のため、白いタイルがフェルトのブランケットに交換されました。また、コロンビアの名前がペイロードベイのドアから胴体に移動し、軌道上での識別が容易になりました。

コロンビアには、Shuttle Lee-side Temperature Sensing (SILTS)と呼ばれる赤外線カメラが搭載されていました。これは大気圏再突入時の熱力学的状況をマップ化するために設計されたもので、垂直安定板に設置されていました。しかし、皮肉なことに、SILTSはコロンビアが空中分解した最後の飛行で、超高温プラズマによって破壊されました。

コロンビアは5日間と1時間のミッションを終え、1989年8月13日にエドワーズ空軍基地に着陸しました。

まとめ

STS-28は、国防総省関連の機密任務を帯びた、コロンビアにとって重要なミッションでした。衛星放出、科学実験、そして熱防護システムの改良など、多くの成果がありました。しかし、飛行中に発生したいくつかの問題や、後のコロンビア号の事故を考えると、このミッションは宇宙開発の歴史において、重要な教訓を与えてくれる出来事であったと言えるでしょう。

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