STS-2

STS-2ミッション：再利用宇宙船の再訪と技術実証

STS-2は、NASAのスペースシャトル計画における2回目のミッションとして、1981年11月12日にコロンビアによって打ち上げられました。このミッションは、スペースシャトル、そしてコロンビアにとって2度目の飛行であり、地球に帰還した再利用可能な有人宇宙船が再び宇宙へ戻るという、歴史的な瞬間となりました。

ミッションの背景

当初、STS-2ではスカイラブの再起動が計画されていましたが、開発の遅延とスカイラブの軌道低下により、この計画は実現しませんでした。打ち上げ時には、スカイラブは既に軌道を外れていました。

乗組員

船長：ジョー・エングル
操縦士：リチャード・トゥルーリー

エングルは元々アポロ17号の月着陸船パイロットに選ばれていましたが、ミッションの中止により、このSTS-2が初の宇宙飛行となりました。トゥルーリーも同様に初の宇宙飛行であり、STS-2はスカイラブ4号以来の、全員が新人という珍しいミッションとなりました。しかし、NASAはその後、船長は宇宙飛行経験者であるべきというポリシーを採用し、STS-2が最後の全員新人ミッションとなりました。

ミッションパラメータ

離陸時オービタ質量：104,647 kg
着陸時オービタ質量：92,650 kg
ペイロード質量：8,517 kg
近点：222 km
遠点：231 km
軌道傾斜角：38.0°
軌道周期：89.0分

ミッションのハイライト

STS-2の打ち上げは、STS-1から7ヶ月後の1981年11月12日に行われました。打ち上げは当初遅延しましたが、データ転送ユニットの交換後、無事に軌道へ投入されました。このミッションでは、コロンビアはDFIパッケージやOSTA-lなどの機器を搭載し、地球の資源、環境、海洋、気象状況の遠隔測定に成功しました。また、カナダが製造したシャトル・リモート・マニピュレータ・システム（カナダアーム）の操作も、初めて全ての運用モードで成功しました。

ミッション中には、ロナルド・レーガン大統領がミッション管理センターを訪問し、宇宙飛行士たちを激励しました。

ミッションの短縮と帰還

当初5日間の予定だったSTS-2は、燃料電池の故障により、2日間に短縮されました。予定されていたカナダアームの試験も中止されましたが、乗組員は限られた時間の中で試験を試みました。

11月14日、コロンビアは2日6時間13分13秒の飛行を終え、エドワーズ空軍基地に着陸しました。エングルは、スペースシャトルの安定性と制御を確認するため、手動で大気圏再突入を行い、着陸を成功させました。

ミッションは短縮されたものの、目的の90%以上が達成されました。また、打ち上げ時の高圧波を吸収する水音抑制システムの改良も行われました。耐熱タイルに損傷が見られたものの、ミッションに大きな影響はありませんでした。コロンビアはその後、ケネディ宇宙センターに戻りました。

その他の注目点

STS-2は、外部燃料タンクが白色に塗装された最後のミッションでした。以降のミッションでは、機体重量を軽減するため、無塗装の橙色の外部燃料タンクが使用されました。
ミッションの記章には、スペースシャトル計画における番号を表す2つの星が描かれています。
NASAでは、宇宙飛行士の起床時に音楽を流す伝統があり、STS-2でも特別な曲が選ばれました。

STS-2は、スペースシャトル計画における重要な一歩であり、再利用可能な宇宙船の可能性を示すとともに、様々な技術試験と地球観測を実施しました。

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