STS-41-D

STS-41-Dミッション：ディスカバリーの初飛行と数々の挑戦

STS-41-Dミッションは、スペースシャトル・ディスカバリーの記念すべき初飛行であり、1984年8月30日にケネディ宇宙センターから打ち上げられました。当初の計画から大幅に遅延し、数々の技術的な問題に見舞われましたが、最終的には6日間のミッションを成功させ、3つの商業用通信衛星の軌道投入と多様な科学実験を実施しました。

ミッションの経緯と遅延

当初1984年6月26日に予定されていた打ち上げは、メインエンジンの不調などにより、打ち上げ6秒前に中止。スペースシャトル計画初の打ち上げ中止となり、2ヶ月以上の延期を余儀なくされました。再打ち上げ当日も、制限区域への航空機侵入により遅延が発生するなど、困難が続きました。

これらの遅延により、STS-41-Fミッションは中止となり、そのペイロードはSTS-41-Dで運搬されることになりました。その結果、ペイロードの重量は18,681kgに達し、当時のスペースシャトルにおける最高記録を更新しました。

搭乗員

6人の搭乗員は以下の通りです。

船長：ヘンリー・ハーツフィールド (2回目の飛行)
パイロット：マイケル・コーツ (初飛行)
ミッションスペシャリスト1：マイク・マレーン (初飛行)
ミッションスペシャリスト2：スティーヴン・ホーリー (初飛行)
ミッションスペシャリスト3：ジュディス・レズニック (初飛行)
ペイロードスペシャリスト：チャールズ・ウォーカー (初飛行)

ハーツフィールド以外の搭乗員は全員が初飛行であり、レズニックは女性宇宙飛行士として注目されました。また、ウォーカーはマクドネル・ダグラス社の社員であり、初の民間ペイロードスペシャリストとして搭乗しました。

ミッションの目的と成果

ディスカバリーのペイロードには、以下のものが含まれていました。

3つの商業用通信衛星（SBS-D、テルスター3-C、リーサット-2）：これらは全て正常に軌道投入され、運用に成功しました。
OAST-Iソーラーパネル：幅4.0m、高さ31mの大型ソーラーパネルは、将来の宇宙ステーション建設に向けた技術実証を目的としており、大規模構造物のための軽量ソーラーパネルの実現可能性を示しました。
* Continuous Flow Electrophoresis System (CFES)実験：マクドネル・ダグラスが資金提供するこの実験は、生体細胞を用いたものであり、ウォーカーは飛行中に100時間以上をこの実験に費やしました。

その他、微小重力状態での結晶成長を観察する学生向けの実験や、IMAXカメラによる撮影も行われました。撮影された映像は、後にドキュメンタリー映画「The Dream Is Alive」として公開されています。

ミッションの終わり

ミッションは6日間と56分4秒で終了し、1984年9月5日にエドワーズ空軍基地に着陸しました。ディスカバリーは地球を97周回し、401万kmを飛行しました。その後、オービタはケネディ宇宙センターへ移送されました。

ミッションの徽章

青地に輝く12個の星は、ミッションが当初STS-12と呼ばれていたことを示しています。ディスカバリーの名前が、シャトルに繋がる帆船から伸びるテープに描かれ、これがディスカバリーの処女航海であることを表しています。

起床コール

NASAでは、宇宙飛行士のために音楽をかける習慣があり、STS-41-Dでも、搭乗員の家族が選んだ特別な楽曲が起床時に使用されました。

まとめ

STS-41-Dミッションは、スペースシャトル・ディスカバリーの初飛行として、数々の困難を乗り越え、商業衛星の軌道投入や科学実験を成功させた重要なミッションです。また、初の女性宇宙飛行士の搭乗や、記録的なペイロードの運搬など、多くの点で注目を集めました。

もう一度検索