STS-43

STS-43 ミッション概要

STS-43は、スペースシャトル・アトランティスによって行われた9回目のミッションです。このミッションの主要な目的は、4機目の追跡データ中継衛星（TDRS-E）の打ち上げであり、その他にも将来の宇宙ステーションで使用される可能性のある技術の試験や、科学実験が行われました。

乗組員

船長: ジョン・ブラハ (3回目の飛行)
操縦手: マイケル・A・ベーカー (1回目の飛行)
ミッションスペシャリスト1: シャノン・ルシッド (3回目の飛行)
ミッションスペシャリスト2: デヴィッド・ロー (2回目の飛行)
ミッションスペシャリスト3: ジェームズ・アダムソン (2回目の飛行)

ミッションの準備と打ち上げ

当初、1991年7月23日に予定されていた打ち上げは、オービタと外部燃料タンクの分離を制御する電子系統の故障により、7月24日に延期されました。さらに、7月24日の打ち上げ5時間前には、3番メインエンジンの制御装置の故障が発生し、再び延期となりました。制御装置の交換と試験を経て、打ち上げは8月1日に再設定されましたが、キャビンの圧力通気弁の指示値の異常と、打ち上げ地点の悪天候により、さらに延期されました。最終的に、1991年8月2日午前11時1分59秒（EDT）に打ち上げが成功しました。打ち上げ時の重量は117,650kgでした。

ミッションのハイライト

TDRS-Eの展開

ミッションの主要ペイロードであるTDRS-Eは、慣性上段ロケット（IUS）に取り付けられ、打ち上げから約6時間後に放出されました。IUSはTDRS-Eを静止軌道まで運び、TDRSクラスターの4番目の衛星となりました。TDRS-5と名付けられたこの衛星は、地球上空22,000マイル以上の静止軌道に投入され、アンテナと太陽電池パネルを展開した後、IUSから分離されました。

TDRSネットワークは、スペースシャトルなどの低軌道宇宙船と地球間の通信リンクを提供します。STS-43で4機目が展開されるまで、3機のTDRSが赤道上空の軌道上に存在し、宇宙船の高度に応じて周回の85%から100%で地上との通信を可能にしました。

その他の実験

Space Station Heat Pipe Advanced Radiator Element II (SHARE II): 将来の宇宙ステーションで使用される可能性のある熱エネルギー移転による自然冷却過程の試験。
Shuttle Solar Backscatter Ultra-Violet (SSBUV) instrument: シャトル太陽光後方散乱紫外（SSBUV）機器
Tank Pressure Control Equipment (TPCE): タンク圧力制御装置
Optical Communications Through Windows (OCTW): 窓越し光通信
Auroral Photography Experiment (APE-B): オーロラ写真実験
Protein Crystal Growth Ill (PCG Ill): タンパク質結晶成長実験
Bioserve / Instrumentation Technology Associates Materials Dispersion Apparatus (BIMDA): バイオサーブ/計測技術アソシエイツ材料分散装置
Investigations Into Polymer Membrane Processing (IPMP): ポリマー膜処理の研究
Space Acceleration Measurement System (SAMS): 宇宙加速測定システム
Solid Surface Combustion Experiment (SSCE): 固体表面燃焼実験
Ultraviolet Plume imager (UVPI): 紫外線プルームイメージャー
* Air Force Maui Optical Site (AMOS): 米空軍マウイ光学サイト

これらの実験を通じて、微小重力環境下での材料科学、燃焼現象、冷却技術、医学的影響など、様々な分野の研究が進められました。

ミッションの課題と解決

ミッション中には、Auxiliary Power Unit (APU) 2の冷却系の故障が発生しましたが、これはミッションの安全性に影響を与えるものではありませんでした。APU 2は、再突入と着陸時にオービタの操舵装置の水圧系統を制御する冗長系の1つであり、必要に応じて使用できる状態でした。

着陸

アトランティスは、1991年8月11日午前8時23分25秒（EDT）にケネディ宇宙センター第15滑走路に着陸しました。ロールアウト距離は9,890フィート、ロールアウト時間は60秒でした。着陸時の重量は88,944kgでした。

これは、1986年1月のSTS-61-C以来初めてのケネディ宇宙センターへの着陸となりました。

ミッションの徽章

左上の4つと右上の3つの星は、ミッション番号であるSTS-43を象徴しています。徽章は、エルレンマイヤーフラスコの形を模しています。

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