STS-51-G

STS-51-Gは、NASAのスペースシャトル計画における18回目の飛行であり、ディスカバリーにとっては5回目のミッションです。1985年6月17日にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、7日間の宇宙での活動を経て、6月24日にエドワーズ空軍基地に着陸しました。

このミッションの大きな特徴の一つは、サウジアラビアの王族であるスルタン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウードがペイロードスペシャリストとして搭乗したことです。彼は、アラブ人、ムスリム、そして王族として初めて宇宙を訪れた人物となりました。また、STS-51-Gは、過去の宇宙飛行経験を持つ乗組員が一人もいない初めてのミッションとしても記録されています。

乗組員

船長: ダニエル・ブランデンシュタイン
操縦手: ジョン・クレイトン
ミッションスペシャリスト1: シャノン・ルシッド
ミッションスペシャリスト2: スティーブン・ネーゲル
ミッションスペシャリスト3: ジョン・ファビアン
ペイロードスペシャリスト1: パトリック・ボードリー(CNES)
ペイロードスペシャリスト2: スルタン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル・サウード

ミッションの目的

STS-51-Gの主な目的は、3機の通信衛星の展開でした。具体的には、アラブ衛星通信機構のアラブサット-1B、メキシコのメレロス1号、そしてAT&Tのテルスター3Dです。これらの衛星は、ディスカバリーから放出された後、ペイロード・アシスト・モジュール（PAM-D）を使用して、それぞれの静止トランスファ軌道へと投入されました。

また、このミッションでは、スパルタン1という宇宙実験プラットフォームの運用も行われました。スパルタン1は、オービタから放出された後、自律的に宇宙空間を移動し、天文観測機器を使用して科学データを収集するように設計されています。ミッション中、スパルタン1は正常に展開、運用され、貴重なデータをもたらしました。

その他にも、STS-51-Gでは、材料実験のための炉や、フランスが提供した生物医学実験、そして6つのGetaway Special (GAS) ペイロードが搭載されました。これらの実験は、宇宙環境が材料や生物に与える影響を研究することを目的としていました。

さらに、戦略防衛構想（SDI）に関連するHigh Precision Tracking Experiment (HPTE)も実施されました。HPTEは、当初展開に失敗しましたが、2回目の試みで成功し、戦略防衛に関するデータを収集しました。

ミッションの終焉

ディスカバリーは、7日間と1時間38分52秒のミッションを終え、1985年6月24日にエドワーズ空軍基地に着陸しました。このミッションは、宇宙開発における国際協力の重要性を示すとともに、様々な科学実験や技術実証を通じて、宇宙探査の可能性を広げるものとなりました。

NASAは、宇宙飛行士の士気を高めるため、ジェミニ計画から音楽をかける試みを始め、アポロ15号で初めて起床コールに音楽を使用しました。STS-51-Gでも、乗組員の家族が選んだ、彼らにとって特別な意味を持つ曲や、その日の活動に適した音楽が使用されました。

関連項目

有人宇宙飛行の一覧
* スペースシャトルのミッション一覧

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